「ルドゥーテの「バラ図譜」展」

 少し前になりますが、横浜のそごう美術館で開催中の「ルドゥーテの「バラ図譜」展」を見てきました。

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 「バラ図譜」はピエール=ジョゼフ・ルドゥーテ(1759~1840)がナポレオン皇妃のジョゼフィーヌの庇護のもと、マルメゾン宮殿の植物画家として活躍していた時に制作されました。一つ一つ違うバラを169点、それぞれが肖像画のように描かれていて植物学的な正確さと共に作品としての優美さを兼ね備えたボタニカルアート作品集です。

 制作には点刻彫版法(スティップル・エングレーヴィング)という銅版画の技法が使われています。版に細かな点を刻んで色を詰め分け、一枚の版で多色刷りを可能にしているとの事で、ルドゥーテはさらに刷り上がったものに手彩色を施しているそうです。

 会場には作品の横に虫眼鏡が置いてある箇所があり、覗いてみるとバラの曲線の柔らかさ、微妙な色合いの所以はこの手法にあるということがよく分かりました。蕾の先などは点が…と一個ずつ連なっている程の繊細さでした。細部に神経を注ぐことが作品全体としての優美さと質の高さを支えているのだと改めて感じました。

 また、ガリカ系の紫色のバラに見られるような深く複雑な色遣いは本当に美しく、これのどこまでが版でどこまでが手彩色だろうと知りたくなりました。一点ものの水彩画のようなクオリティに仕上げるには最後の手彩色が決め手なのかもしれませんが、それにしても贅沢なつくりの図譜だと思いました。

 個々の作品についてはバラに詳しい人が見たら一層楽しめるのだろうと、ちょっと羨ましく感じるほど、花、葉、棘などにそれぞれの特徴が細かく描き分けられていました。

 

 「バラ図譜」は、ルドゥーテが心から植物を愛する優れた植物画家であったことが第一ではありますが、彫版師や摺師を含めた最適な表現が出来る制作技法があったことや、モチーフのバラが豊富にあったこと、安定した地位で仕事が出来たことなど、もしかしたら奇跡的な好条件が重なって完成されたものかもしれないと、ふと思いました。

  

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展示の最後にルドゥーテの「花のレンブラント」「花のラファエロ」と呼ばれるまでの半生を描いた絵本『花を描く人』が紹介されていました。絵もきれいで内容も分かりやすく、ルドゥーテが多くの人から愛されている画家であることが伝わるものでした。

そごう美術館 ルドゥーテの「バラ図譜」展

 「ルドゥーテの「バラ図譜」展」” に対して2件のコメントがあります。

  1. kyou2 より:

    >mapleさん
    コメント有難うございます。このコメント欄2重投稿になりやすくてご迷惑かけること多いです。かえってすみませんでした。

    mapleさんもご覧になりましたか。そういえば私も確かBunkamuraでも見たような、でもルドゥーテ以外もあったような。
    ルドゥーテは一つのスタイルを確立しているのが凄いと思います。一目で彼だと分かる植物画ですものね。

  2. maple より:

    ルドゥテのバラ展、青森でも今やっていて先日観てきました。5、6年前に渋谷のBunkamuraで観たことがあったんですけどもう一度(*'▽'*)何回見ても繊細で生き生きとして美しい^_^

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