[展覧会] 「ソール・ライターの原点 ニューヨークの色」展
渋谷のヒカリエホールで開催中の「ソール・ライターの原点 ニューヨークの色」展に行ってきました。
ソール・ライター展は近年2回あって、1回目は見逃してしまい、2回目はコロナ禍の渋谷に怖気づいて行けませんでした。そんなわけで今回は絶対に見たいと思っていました。
展示は「1950~60年代のニューヨークの日常を切り取った写真」「雑誌に掲載されたファッション写真」「画家としての水彩画」「大画面でのカラースライドショー」と大きく4つに分かれています。気前の良いことに全館写真撮影可でした。
白黒写真はノスタルジーとモダン、社会の光と影といったようなものを斬新に切り取った作品ばかりでした。構図の面白さ、被写体の意外性、白と黒のバランスのすばらしさが印象に残りました。
女性の頭のあたりにあるのは飛行船でしょうか、思いつめた表情の女性と飛行船との対比が独特の空気感や時代を醸し出しているように感じます。
共通の友人からウォーホルを紹介された時に、同居していた母親と彼を一緒に撮った写真。若き日のウォーホルの繊細さが際立っています。母親は気丈で朗らかそうに見えますね。
ライターの水彩画を初めて見ましたが、単色の美しさもさることながら複雑な色の重なり合いがとても印象的でした。カラー写真の根底にはこれがあったのかと思いました。
ソールのカラー作品はプリントという形より、カラースライドの投影を好んでいたそうです。カラースライドは画像の色の再現性や解像度が高いことが特徴とのことで、紙などでマウントされています。
会場では小さなスライド(複製)を光を通して見ることができました。色鮮やかな宝石のようなミニチュアの世界が広がっているようでした。
小さなスライドを鑑賞した後は、ホールの広い空間に先ほどのスライドが投影されるスライドショーになっていました。左右の壁に5面ずつ合計10面でなかなか壮観でした。
ゆったりと座りながら色彩溢れる映像を見ていると、一つ一つに想像をかきたてられます。矩形の中にストーリーがあって、解き明かしたい気持ちにもなります。
いつもの展覧会にはない色鮮やかな光に包まれて贅沢な時間を過ごせました。