江戸の好奇心

先日いつもと違う市立図書館へ行く機会があった。
美術関係のコーナーへ行き「図書館によって本棚の顔ぶれも違うな~」なんて眺めていたら、偶然「復刊リクエスト」にあがっていた本を見つけた。
絶版になっているようで、定価2400円のところアマゾンのユーズド価格では、10000円近くするようだ。

江戸の動植物図―知られざる真写の世界

『江戸の動植物図 知られざる真写の世界』 朝日新聞社編 (朝日新聞社)

江戸時代、世の中が平和になって医学、本草学が進み、諸藩では将軍吉宗の号令のもと、殖産事業のための「諸藩産物帖」が編纂された。
獣や鳥、植物、昆虫、魚や貝とあらゆるものが描かれ、殿様芸から旦那芸、プロからアマまで、空前の自然誌ブームであったようだ。

動植物図は大きく分けて芸術系動植物画(円山応挙や伊藤若冲)と学術的動植物図譜に分かれるように思う。

一般的に図譜は下書きやスケッチを浄書した形をとるので、当初の感動が薄れ無味乾燥なものになりがちだが、本書では獣や昆虫の生態を生き生きと描いたものも多数紹介されており、大変興味深かった。

特に、初めて目にした幕末の異才・関根雲停の鳥や魚図は素晴らしかった。
筆づかいが、西洋の画家のデッサンのようにも見え、形式にとらわれない構図が面白い。近代的な観察眼を感じた。


関根雲停「トビ」

 


関根雲停「フナ 雌・雄」

あと、これまた初めて知った奥倉魚仙の「水族四帖」、この人は絵の上手いアマチュア博物学者だそうで、好事家狩谷某がその才能を認め、魚代を与えて日本橋魚市場に日参させ、魚仙は二十年一日のごとく魚を描き続けたそうだ。


「水族四帖」アカハタ・ホウキハタ

「水族四帖」鯛の骨格・・・コレは楽しい「鯛中鯛」は今で言う「鯛の鯛」

「鯛の鯛」の面白ページ http://www.aquamuseum.net/himitu/tainotai.html
(鯛の酒蒸しなんかにすると、焼くより身離れが良くて、食べる時に見つけられて面白いです。)

『江戸の動植物図 知られざる真写の世界』は、江戸の文化水準の高さを実感しつつ、理屈ぬきに“目の楽しみ”といった一冊だ。

「復刊リクエスト」は、ご存知「復刊ドットコム」http://www.fukkan.com/というサイトで、復刊して欲しい本を上げて、それに同意する人が一票をいれ、要望者多数になると復刊交渉を始めるといったもの。
私はときどき覗く程度だけれど、結構楽しめる。

『江戸の動植物図 知られざる真写の世界』

http://www.fukkan.com/vote.php3?no=34826

江戸の好奇心” に対して3件のコメントがあります。

  1. みちこ より:

    今日、新江ノ島水族館に娘と行ってきました。あそこは、荒俣宏が設計に絡んでいるんですね。
    とても楽しめました。水質がクリアーで、本当に細かいところまで魚が良く見えて、海の中の世界って、なんて面白いんだろう、とつくづく。20年描いても飽きないでしょうね。
    変なのは、マダイの標本のところに、紀子様ご出産祝いの看板があったこと。めでたいからって、何も標本のところにこじつけなくても。。。秋篠宮家でも、鯛中の鯛はとられたのかな?なまず殿下は、魚類にお詳しいそうですからね。

  2. ワイン より:

    すばらしい絵ですね。初めてみました。
    芸術系か、学術系か、と言う分け方をすると、ダヴィンチなどはどっちに転ぶ?(笑)

  3. Yadayoo より:

    関根雲停という人、初めて知りました。伝統的な描き方にとらわれない科学者のような観察眼は、とても新鮮ですね。こういう人が幕末にいたとは何だか愉快になります。復刊ドットコムサイトは会員になっています。ある本の復刊に投票しています。ハンドルネームは同じものなので探せば出てくるでしょう。

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