めずらしくベストセラーを

ダ・ヴィンチ・コード〈上〉

『ダ・ヴィンチ・コード 上下』 ダン・ブラウン著/越前敏弥訳 (角川書店)

全てはルーブル美術館館長ジャック・ソニエールの奇妙な死体から始まる。

彼の孫娘ソフィー・ヌヴーと大学教授のロバート・ラングドンは、彼の死の真相をさぐるべく残された暗号を解読していく。そして秘密を明かす鍵は、ダ・ヴィンチの絵の中にあることを知る・・

宗教、秘密結社、謎解き、暗号、芸術、科学、殺人、等々の要素がふんだんに盛り込まれている。

興味深い蘊蓄と道具立ての贅沢感、テンポよいストーリー展開がベストセラーの所以だろうか?

全体の印象は、インディ・ジョーンズの冒険活劇。

やっぱりというか、映画化されるそうだけど・・。

正直、私には登場人物の魅力があまり感じられなかったし、文章に魅力も感じられなかったが、西洋史やキリスト教史を垣間見る面白さはあった。

あんまり話題だったので、期待先行したかな。買わずに友人に借りて正解か?(ゴメンね)

でも、宗教史学者ティービングのこの言葉は印象深かった。

「歴史はつねに勝者によって記されるということだ。ふたつの文化が衝突して、一方が敗れ去ると、勝った側は歴史書を書き著す。みずからの大義を強調し、征服した相手を貶める内容のものを。ナポレオンはこう言っている。“歴史とは、合意の上に成り立つ作り話にほかならない。”と」 (下巻 P30)

著者はキリスト教の垂直思考ともいえる男性性が、豊穣な女性性を抹殺、巧妙に封印してきたことを強く指摘している。

その辺り、キリスト教圏では批判も多いらしいが、物議を醸しだし注目させることが著者のねらいだから、その意味では大成功だろう。

読んですぐに、カラヴァッジョの絵が落とされている場面があり、わわっと・・

ゴージャス感ありありの演出ですね。