[お知らせ] RHS Botanical Art and Photography Show 

植物画(ボタニカルアート)を描いている人にとって最高峰とも言えるコンクールは、毎年イギリスのRoyal Horticultural Society (王立園芸協会)が主催する「RHS Botanical Art and Photography Show」ではないでしょうか。今年は6月14日~7月7日にロンドンのSaatchi Gallery で開催されます。
私自身もいつかはRHS展にと思い続けてきましたが、今年やっと念願かなって出展することになりました。

そもそもRHS展に参加するには事前審査があり、承認されると5年間の出展の権利が与えられ、承認された者は期間内に自分の決めたテーマにそった6作品を出展することになります。
今回、私が選んだ植物はCelosia属(ケイトウ)で、ケイトウは枝や花の付き方などの構造の違いから3つのグループに分けられます。私はグループごとの特徴を正確に描き分け、ケイトウの多様性のある魅力を表現することを主なテーマとしました。
3つのグループは、トサカが印象的なトサカケイトウ、フサフサした羽毛状の房ケイトウ、花が麦の穂ようなノゲイトウ系になります。ケイトウを選んだ理由としては、変化に富んだ園芸品種が多数あること、自宅で種から育てられること、植物の構造が複雑で技術的な挑戦という意味で遣り甲斐があると思ったからです。
3,4年毎年種を蒔いてモチーフを選びました。種から蒔くと結構個体差があったり、上手く育たない年があったりで、描きたい部分を翌年まで待たなければならないこともありました。RHS展は大変だとは聞いていましたが、事前審査用の作品も含めると私は出展まで5年くらいかかりました。

4月に作品をイギリスに発送し、英語のテキストも全部提出し、やれやれこれで終わった~と思っているところへ、RHSの事務局から思いがけず嬉しいメールをいただきました。

私の作品でクルメケイトウの ‘Kurume Kouki’がリード・プロモーションの作品に選ばれたとの連絡で、会場となるSaatchi GalleryのHPに‘Kurume Kouki’が掲載されていました。

Saatchi Gallery

この作品は何気なくケイトウを下から眺めた時の光景を描いたものです。トサカの下にびっしりある花や種の存在に植物の生命力を感じて強く心を打たれました。微細な花や種の様子が一目で正確に伝わるように実物の4倍の大きさで描いており、こぼれ落ちる種は遠近法でそれ以上の倍率で描いています。

RHS展はコンクールですから金銀銅のメダルが授与されたり、それとは別の賞もあります。私としては参加できただけで自分の財産なので満足していますが、リード・プロモーションの作品に選ばれたことは大変幸先良く、光栄なことだと思っています。

諸々の理由からRHS展に出展することや作品の画像は一切表に出さずにいましたが、作品が公開されたのを機会にブログに書くことにしました。実際の展覧会の様子なども後日ブログに載せていこうと思っておりますが、まずはご報告まで。