[展覧会] あやしい絵 展

竹橋の東京国立近代美術館で開催中の「あやしい絵 展」を見てきました。コロナ禍以来ずっと東京の展覧会に行っていなかったので本当に久しぶりです。

どうしても見たかった理由は甲斐庄楠音(かいのしょう ただおと)の《横櫛》が展示されると知ったからです。以前から是非一度見たいと思っていた作品で、これを逃せば後悔必至ですからね。

それにしても展覧会名の「あやしい絵」というのが面白いと思いました。閉塞感のある昨今、非日常的なカタルシスを求める気持ちに響きます。もしかしたら混んでいるのかと戦々恐々でしたが、心配するほどの混み具合ではなく、ある程度落ち着いて見られたので安心しました。

展示は現実世界とは違った幻想的な異界を描いた作品、神話や宗教的なテーマのある作品、耽美主義的な作品ばかり。とりわけ女性を描いた作品が「あやしい絵」の中心と言っても過言ではありません。それはいわゆる美しい女性を描いた美人画ということではなく、単に美しいという言葉だけでは言い表せないモデルの強烈な自我、情念、生命力、ある種の奇怪さが表現されていて、さらに現実の男性社会や男性的なるものへのアンチとして畏怖や憧れも感じられるようでした。

           甲斐庄楠音《横櫛》

さて、見たかった甲斐庄楠音の《横櫛》は、女性の立ち姿なのですが、その目は底知れぬ深さを感じさせるようでもあり、全く何も考えていない人形のようでもあり不可思議です。美しいというよりは怖い、優しいというより得体の知れない微笑かもしれませんが、そこが人を惹きつけて止まないあやしい絵たる所以ですね。

もう一つ初めて見た大作の《畜生塚》は衝撃的でした。作品は豊臣秀次が謀反の罪で切腹、後にその妻妾や子30名あまりも三条河原で処刑され、屍はまとめて一つの穴に埋められて「畜生塚」とされたことを題材に描かれているそうです。

                     甲斐庄楠音《畜生塚》
                        《畜生塚》部分

残忍な事件はインパクトがありますが、それ以上に彼女らの裸体が実に生々しく力強く、到底これから死ぬ運命にあるとは思えないほど存在感がありました。逆に人ひとりの肉体を滅ぼす、若い生命を奪うという事の理不尽を突き付けているようでした。権力者の命令に唯々諾々と殺されなければならなかった無念を力強い肉体が精一杯抵抗し恨んでいるように見えました。

絵画ではありませんが、会場入ってすぐに安本亀八の生人形(いきにんぎょう)があって感激しました。明治28年頃桐生市にあった織物会社がこの《白瀧姫》を購入し、敷地内の織姫神社に奉納したそうです。

                 安本亀八《白瀧姫》 

本展では数点に写真撮影不可のマークがありましたが、ほとんどの作品が写真撮影可でした。最初は半信半疑だったので監視員の方に確認してから写真を撮り始めたくらいです。目玉作品の《横櫛》も可能だったのには嬉しい驚きでした。

コロナの最中に展覧会に行くのはとても心配でしたが、念願かなって見ることができ、直行直帰で今も無事に過ごしているのでホッとしています。早く何の支障もなく行動できる日が来れば良いと願っています。

あやしい絵展公式HP

*4月11日に投稿しましたが、ミスで「ページが見つかりません」となっていました。今日教えてもらってやっと気が付きました。どうもすみませんでした。

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