[作品] 《ヤマユリ》

一か月以上かかってしまいましたが、ヤマユリがやっと仕上がりました。
モチーフのヤマユリは去年球根を大きな植木鉢に植えて育てたもので、草丈が90cm、花は花径が20cmくらいのものを3輪つけました。大輪に咲いてくれたのは良かったのですが、普通のものに比べて茎から花までの花柄が少し短い感じもします。若干発育不良だったのかもしれませんね。
でもまあ、来年咲くとも限らないし、折角こんなに大きく咲いてくれたのだから描くしかないです。


《ヤマユリ》部分

透明水彩で背景が白(何も描いていない水彩紙のまま)のボタニカルアートでは、白い花を描く時はとても気を遣います。
白い花はグレーの陰影を入れて輪郭や立体感などを表しますが、入れ過ぎるときれいな白い花になりません。反対に少な過ぎても背景の白と区別がつかなくなってダメです。また、ぐるりと輪郭線だけが目立つようでも平面的でおかしなものになってしまいます。そんな訳で全体に加減が難しくいつも慎重に進めています。
また、私は白い花を彩色する時は必ず葉から描き始めるようにしています。花から描き始めるとつい調子に乗って陰影を入れ過ぎて黒くなることが多いものですから。

ヤマユリの花被(萼と花弁)の特徴は、表面に見える赤い突起(乳頭突起)や斑点と鮮やかな黄色い筋で、英名が「golden‐banded lily」というのも頷けます。その艶やかさは強い香りとも相まって人や昆虫を惹きつけて存在感抜群です。「ユリの女王」と呼ばれるにふさわしいですね。

特に赤い突起(斑点も膨れていて区別が微妙)は目立ちます。花被の付け根のでは薄黄色ですが、それ以外は赤くなっていました。乳頭突起は毛の一種らしいのですが、植物の毛というのは固いものから柔らかいものまで色々で、その役割も虫による食害から守ったり、水分の蒸発を防いだり、また分泌物を出す機能を持つものもあるそうです。
ヤマユリはどのような理由でこんな突起があるのでしょうか。描きながらちょっと気持ち悪い気もするなぁと思いましたけどね。

作品はこちら→《ヤマユリ》

 

 

 

[作品] 《ヤマユリ》” に対して6件のコメントがあります。

  1. kyou より:

    >ワインさん
    どうも有難うございます。
    お仲間残念でしたね。私もそういうこと多々あるので、がっくりな気持ちわかります。絵にならないとしょうがないし。
    本描きのときは花は枯れてしまう恐れがあるので、最初に試し描きで花の彩色をしっかりやって色決めしておきます。
    あとは写真とかですね。でも、写真はテンション下がるので生で見た感動や雰囲気を忘れないようにしています。

  2. kyou より:

    >きよぴーさん
    どうも有難うございます。
    私も何度も白い花をグレーにしたことありますよ。今回は描き込み不足くらいにしたから白いのかも(笑)
    描き込めばどうしても黒くなるしかないですからね。ボタニカル描く人は多かれ少なかれ苦労するところですよね。

  3. ワイン より:

    ヤマユリを見ると、夏が来たという感じがします。おっしゃるとおり、本当に山の中に咲いているのを見つけると、存在感が抜群ですね。球根を買ってきてそだてて描こうとした人、私の仲間にもいますが、ちゃんとそだってくれなかったそうです。
    葉や茎から彩色を始めると書かれていましたが、花が終わってしまう心配はありませんか?葉ならユリはけっこう長持ちしますが、花はそうはいきませんね。やはりkyouさんは描くスピードが早いのかも!
    野生の植物特有の力強さが作品によく表れていてすばらしいと思いました。

  4. きよぴー より:

    わぁ~見事なヤマユリですね。ユリの存在感、力強さを感じる作品に仕上がっていますね。
    白い花を描くのは、苦手です。
    陰影を入れすぎて、白の花でなくなってしまった事が多々あります^^;
    ほとんどんの場合、私は花から描いています。
    おっしゃるように、白い花の場合は葉っぱから彩色するのがいいかもしれませんね。
    今度白い花を描く時にそうしてみます。

  5. kyou より:

    >ゴンベッサさん
    いつも有難うございます。
    肉厚で白い花被の存在感が難しかったです。葉が多くて嫌になり上手くいっていないところもあります。
    私も何年か前に野村さんの作品を拝見したくてかんてんぱぱ行きましたよ。
    自生のヤマユリ本当に残念でしたね、ゆり根は人が食べても美味しいですから。ゴンベッサさんのユリも拝見したかったし。

  6. ヤマユリ凄いです、用紙も大きいのでは、確かに白花影の付け方工夫がいりますね
    かんてんぱぱの野村陽子さんの美術館で巨大なヤマユリの絵を見たことがあります。
    球根から根まで描いてあり用紙は身長より大きかったような記憶で迫力がありました。
    かみさんの実家の方では自生のヤマユリがたくさん生えていたのですが
    最近はイノシシやサルの被害でほとんど姿が見られない様になりました。
    最近は私も白花を連続で描いていますがやはり難しいので悩みます。
    それにしても素晴らしい絵でゾクゾクしてきます。

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