[展覧会] DIC川村記念美術館 コレクション展示

千葉県佐倉市にある「DIC川村記念美術館」に行ってきました。


DIC川村記念美術館 入り口

こちらにはロスコ・ルームというマーク・ロスコの《シーグラム壁画》をだけを展示している部屋があり、以前から是非一度来てみたい思っていました。

シーグラム壁画というのは、ロスコがマンハッタンのシーグラム・ビル内にあるレストランの装飾を依頼されて制作した30枚のシリーズ壁画です。しかし結局そこに飾られることはなく、現在は数点ずつ世界の4か所のみに展示されているそうです。詳しくはこちら→マーク・ロスコ《シーグラム壁画》

ロスコ・ルームに入ると仄暗く(美術館HPの写真はかなり明るいですが)壁面には縦が約2メートル、横が約2~4メートルの7枚の大作が掛けられ、部屋はぐるりと作品に取り囲まれた空間になっています。
作品の画面はそれぞれ暗赤色に覆われ、そこに窓枠とも扉とも思えるようなものが赤やオレンジ、黒といった色で描かれています。それだけといえばそれだけなのですが、幾重にも塗り重ねられたキャンバスは実に微妙な色合いと存在感を呈しています。

私は以前から写真を見て「何だか洞窟壁画みたいな色だな」と思っていましたが、実際仄暗い室内で目の当たりにしてその思いをより強くしました。暗赤色や暗褐色の広がりは洞窟、明るい赤は血や炎、黒は闇のイメージです。ずっと見ていると窓枠とも扉とも見える形から、心がどこか自分の根源的な原始的な部分へと導かれていくようでした。それは喜怒哀楽などではなく、もっと深い何かです。
《シーグラム壁画》は各自がこの絵の画面を通して裡なる世界に入りそこに描かれている自分自身の何かを見つめる為の装置のようにも感じました。
そんな訳で、部屋の中央にあるソファに座ってボーと見ているとキリがなかったのですが、名残りを惜しみつつ目の奥に収めた次第です。

ロスコ以外にも印象派から現代美術まで良い作品がゆったりとしたスペースで展示されていて、静かで贅沢な時間を過ごすことが出来ました。
印象に残ったのは一枚のポロック、やっぱり好きだなと。もう一つは初めて見たフランク・ステラのステンレススチールやアルミの彫刻。迫力があって面白かったです。特に美術館の入り口にあったものは一目でいいなぁと。いや、どこがどう良いかなんて説明できませんが(笑)


フランク・ステラ《リュネヴィル》

また、美術館周辺の庭園や散策コースも広々と緑豊かで寛げました。


ヘンリー・ムーアの彫刻のある広場

 


水辺の草花

池にはスイレンがあり、周りにはガマ、ミソハギ、オミナエシなどが見られました。オミナエシがあると夏も終わりか・・という気分にもなりますかね。

今回、ロスコの《シーグラム壁画》を見て色々と感じるところがありましたが、いつかまた見に来て自分の心の裡に降りた時、どんな景色が見え何を感じるのだろうかと、ふと思いました。

DIC川村記念美術館