[展覧会] 花*Flower*華 -四季を彩る-
広尾の山種美術館で会期終了間近の「花*Flower*華 -四季を彩る-」を見てきました。
江戸から現代までの画家による全館花尽くしの展覧会で、花を描いている者としては大変勉強になる作品ばかりでした。
同じ花を描いても画家一人一人の花に対する見方の違いや、作品への取り入れ方も様々で興味深く、また客観的な図譜としての作品から主観的な心情が強く感じられる作品まであり、モチーフとしての花の幅の広さ、可能性のようなものも強く感じました。
春草の《白牡丹》も好きなのですが、一番印象に残ったのは渡辺省亭(1851~1918)の《牡丹に蝶図》でした。
構図の中心となるのは手前に今が盛りの赤い牡丹と黒い蝶がとまった白い牡丹、左後ろに盛りを過ぎて花弁2枚を残すだけになった一本で、今まさにハラハラと雄しべや花弁を落としている、といったところでしょうか。
赤い牡丹の色合いがなんとも艶やかで複雑で魅力的でした。こぼれている雄しべの花糸の白、葯の黄色もリズミカルで惹きつけられました。たらし込みで描いた葉も美しく、こういう技法で描いてみたいなと思いました。
また、初めて知った日本画家ですが小茂田青樹(1891~1919)の《春雨》と《水仙》は独特な強さでインパクト大。《春雨》は雨に濡れる花海棠(だと思います)が描かれていて雨に濡れた花の重みがありました。《水仙》は斜めに倒れかけた白い花と、力強くうねる深緑色の葉とのコントラストに情念のようなものを感じました。
今回この展覧会は全くのノーマークで知りませんでしたが、教室の方が「終了近いけれど…」とチケットをくださって偶然見ることが出来ました。ゆっくりと見ながら花について、技法や構図について色々と考える良い機会になりました。Tさん、どうも有難うございました。