《ホトトギス 園芸品種》
秋ごろから実家のホトトギスを描き始めてやっと仕上がりました。
《ホトトギス》部分
調べてみるとホトトギスは色々種類があるようで、私が描いたものはホトトギスとタイワンホトトギスを交配した園芸品種のようです。
本来のホトトギス(Tricyrtis hirta (Thunb.) Hook.)は茎と葉の間の葉腋に1~3個くらいの花をつけますが、タイワンホトトギスは枝分かれして沢山の花が付くので見分けがつきます。ですが、ホトトギスとタイワンホトトギスの交配種でも園芸店では「ホトトギス」として多く販売されているそうです。
《ホトトギス》部分
描くためによくよく花を見てみると、構造が大変複雑です。しかもまだら模様が花被片(萼片と花弁)や雄しべ、雌しべにまで入っているので形がはっきり分からず大変苦労しました。描き入れた拡大図などの鉛筆画は、形が分かりやすいように斑模様を入れずに描いてあります。
さらに、花は外側の萼片が花弁のようになった外花被片と内側の内花被片にそれぞれ雄しべがくっ付いているのを初めて知りました。それらが中心の雌しべをとりまいているのですが、雌しべにも一部くっ付いて咲いています。雌しべ側にも花被片側にも付いているのですが、花が散って花柄に雌しべだけが残った状態になるときには雄しべは付いていないので、雄しべは花被片側から出ているように見えました。
鉛筆画は最後に全体のバランスを考えて配置しましたが、最後になってあらためて花の構造がよく分かり「あ~あ、もし今から描き始めたらもっと上手く描けたかもしれないなぁ」と…
植物はすぐ枯れてしまうものですが、描く前にその植物の形や構造をしっかり見極めるようにすることの重要性を身に沁みて感じました。
また、花や葉、茎など全体に短い白い毛が生えているので、それらをどの程度描くかも思案したところでした。あまりに描き過ぎても五月蠅くなるし、描かなければ特徴が捉えられないし。原画を虫眼鏡で見ないと見えない箇所もあるかもしれません。
教室でもよく話すのですが、毛の生えた植物って案外多いです。毛の色、長さ、太さそれらを描き分けるのは大変ですが、面白いことろでもありますね。
作品は縦が60cm以上で、自分としてはかなり大きな方だったので時間もかかりました。途中、集中力がなくなり嫌になることもありましたが、どうにか終点に辿り着いてホッとしています。
私は描いているモチーフは、少々枯れてしまっても作品が完成するまで取っておきます。写真を沢山撮りますが、それでも実物でないと確認できないこともあるのでシツコク取っておきます。ホトトギスも水にさして外に置いておきました。
ついこの間「枯れずによくもっているなぁ~」と見たところ、なんと根が出ていました。いやいや、描くのに時間がかかったということです。
作品はこちら→《ホトトギス》
“ 《ホトトギス 園芸品種》” に対して6件のコメントがあります。
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>ワインさん
>タイワンホトトギスとホトトギス(日本のもの)の交配種がある、ということ、初めて知りました。
私もこれがホトトギスだと思っていました。調べてみるとホトトギスって白や黄色、斑のあるなし色々あっておどろきました。
おっしゃるように、なんか地味な花ですよね。小さいしあまりじっくり見たこともはなかったけれど、見れば見るほど複雑で面白いです。まあ、バラなどのように見栄えはイマイチかもしれませんが、植物画のモチーフとしてはとても描き甲斐のある花でした。まだまだ表現しきれなくて、課題が残るのはいつものことですが。
お店で売られているものは、以外と名前がいいかげんだったりするようですね。もちろん園芸店は植物園ではありませんから仕方ないと思います。タイワンホトトギスとホトトギス(日本のもの)の交配種がある、ということ、初めて知りました。
昔、ホトトギスを見たとき、ぜんぜんきれいとも思わなかったし、なぜこんな花が人気あるのだろうと感じたのですが、今見るととても面白いと感じるから、これも年齢のせいなのか、それとも植物画をやっているとそのうちにそうなるのか・・などと自分でも不思議な気分です。て水彩紙縦60cmというのは、かなりの大作ですね。やはり思い入れのあるモデルでないとこのような大きな作品は仕上がらないことでしょうね。
>きよぴーさん
>描くにあたって、まずはその植物を知ることが大事ですね。
本当にそうですね。最近はネットで花の画像があるので雄しべの数や標準的な形はどういうものなのか確認することがよくあります。
確かに1本しかない花を分解しては描けませんよね。今回は割と沢山花があったので色々試してみることが出来て助かりました。
私もタイワンホトトギスがいわゆるホトトギスと勘違いしていました。属は同じだからホトトギスにはちがいありませんけれど。
台湾系が入ると強いので枝分かれした花になるようです。でも、もともとタイワンホトトギスはあまり斑の無いすっきりした花弁みたいですよ。
>ゴンベッサさん
おっしゃるように達成感というか、本当にやっとこれで年越し出来る~っていう感じです。
観察するのは好きなのですが、見れば見るほど描く技術が必要だと実感しますね。
ホトトギス、私が今まで目にしていたものは
タイワンホトトギスだったのだと、
kyouさんの説明でよく分かりました。
描くにあたって、まずはその植物を知ることが大事ですね。
花の構造を知ってから描くと、その描き方もおのずと違ってくると思うのですが、
なかなかそうはいかなくて(^^;)
簡単に手に入るモデルならいいのですが、
そうでない場合はまずは全体のデッサンを優先してしまうことが多くて。
最初に構造を知るために分解したら、その先に進めそうになくて・・・
大きな作品ですね、それに花数が多い、一番時間の掛かる
要素のそろい踏み、仕上がった時の達成感がありますよね。
それに花の構造をよく観察しているのがすごいです
多分見なくても描けくらい頭で覚えてしまうのでは、まあ見る角度で変わるので面白いのですが植物の毛も難物けっこう在りますね~。
素晴らしい絵ありがとうございます。