《セロジネ》
教室の方から頂いたセロジネ・インターメディアを描きました。
《セロジネ・インターメディア》部分
セロジネは東南アジア一帯に広く分布する着生ランで、200種以上の原種があるそうです。
今回描いたセロジネ・インターメディアは園芸種で、バルブの下の方から花径が伸び、白い花が複数咲きます。
透明水彩の植物画を描く場合は、白い絵具は使わないので紙の白を色として使うことになり、塗らずに残すということで白になります。(一部に効果的に白を使う例外もありますが)
という訳で輪郭や陰影の入れ方がポイントなのですが、描き過ぎると黒っぽい花になってしまうし、描かなすぎると地の白と同化してしまうので悩ましいところです。フランドルの油彩の花卉画のように背景が黒ならどんなに楽か…と思うことしばしばです。
ところで、ランは枯れにくい点では描きやすいかもしれませんが、「ラン形花冠」と言われる独特な花の形を描くのはとても厄介で、よく見ないと構造がサッパリ分からないことがあります。
図は典型的なラン形花冠(特定の種類を描いたというわけではありません)で、3枚のがく片と3枚の花弁からなり、中央の花弁は特殊化して唇弁になっています。
受粉の仕組みは、虫が唇弁にとまって蜜などを求めて花の奥に潜り込んだりする際に、上側にある「ずい柱」に付いている粘り気のある花粉塊が身体にくっつき、結果花粉を他へ運んでいき受粉させるとのことです。
虫媒花であるランは、メスの虫に形を似せてオスを呼ぶもの、蜜の溜まる距(キョ)が異常に長く特定の蛾しか対応できないものなど、訪れる虫の種類や行動にあわせ花の形を多種多様に進化させてきたそうです。ランの花と虫の関係は実に奥が深く不思議ですね。
作品はこちら→《セロジネ・インターメディア》
“ 《セロジネ》” に対して4件のコメントがあります。
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> きよぴーさん
> 白い花を描くのは、本当に大変ですよね。
> ちょっと油断すると、白でなくてグレーの花のなってしまったりして・・・
そうですね。私も慎重に慎重に、って言いながら彩色する感じですよ。
> デッサンの線のひき方で、白い花の絵の仕上がりが違ってきてしまうと何度も注意を受けているので(汗)
白い花の時は下描きの線を輪郭として残す場合もありますから、最初から気が抜けませんね。
でも、白い花は影の色や付け方、輪郭の描き方などに結構個性があって、面白いなぁと思うことがあります。
白い花を描くのは、本当に大変ですよね。
ちょっと油断すると、白でなくてグレーの花のなってしまったりして・・・
なぜか、白い花はデッサンをする時から緊張してしまいます。
デッサンの線のひき方で、白い花の絵の仕上がりが違ってきてしまうと何度も注意を受けているので(汗)
>もみじさん
> モデルのセロジネは込み入った花の連なり!花びらの重なり!花びらの捩れ・・・
おっしゃるように、花弁が長くねじれているのが特徴で、デッサンに苦労しました。
> 見入ってしまったのは大きな細長い葉!
> 活き活きした動きのあり、ツヤツヤした葉の表現は主役といってもいいような・・・♪
どうも有難うございます。頂いた時はこんなふうにピーンとしていましたが、今はバルブも萎んでしわしわに…ミズゴケ巻いて復活に期待してます。
たしかに蘭類は花期が長いので描くには良いモデルさんですね。
蘭の種類は多くて、なかなか名前が覚えきれません。
モデルのセロジネは込み入った花の連なり!花びらの重なり!花びらの捩れ・・・
それに白いお花ですから影で凹凸を表現するのですから大変ですね。
とても素適に描かれていると思います。
見入ってしまったのは大きな細長い葉!
活き活きした動きのあり、ツヤツヤした葉の表現は主役といってもいいような・・・♪