「バンクス花譜集」展
渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムで開催中の『バンクス花譜集』展を見てきました。
『バンクス花譜集』というのは、ジョセフ・バンクス(1743-1820)が、1768年キャプテン・クック第一回太平洋探検航海に科学班のリーダーとして参加し、植物学者や画家にタヒチやオーストラリアなどの珍しい植物を採集、記録(ドローイング、スケッチなど)させたものを、後に多色刷り銅版画に仕上げたものです。
驚くべきことに、この花譜集はバンクスが遺した銅板を元に、航海から200年以上後の1980年代になってやっと100部限定の豪華花譜集として出版されたそうです。
銅版画になっているボタニカルアートは清々しく、一切の雑味がない画面は、見ていると心がすっと落ち着きました。
作品だけを見ていると、その裏に画家のパーキンソンを含む多くの乗組員が亡くなるほどの過酷な航海があったことが嘘のように思えます。
未知なるものへ命をかけた熾烈な探検航海といった「動」の世界が、一枚の作品になった時には永遠に美しい「静」の世界へと変換されているように感じました。
一つ一つ丁寧に仕上げられた作品は、植物の描き方や構図など、色々と勉強になりました。カタログを家でゆっくり見るのが楽しみです。チケットを譲ってくださったMさん、本当にどうも有難う。
『バンクス花譜集』カタログ おまけの栞付き
“ 「バンクス花譜集」展” に対して2件のコメントがあります。
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>ワインさん
> 図書館を歩いているような感覚でいつも見るのですが、その裏にある情熱をこの展覧会では強く感じましたね。
「 図書館を歩いているような感覚」言い得て妙です!凄くよく分かります。
ボタニカルは一見すると大人しそうできれいなだけですが、よく見るとものすごいエネルギーが注ぎ込まれているのが分かりますよね。
この展覧会はたしかワインさんの日記で気がついたと思います。見逃していたら残念至極だったので、助かりました!
>未知なるものへ命をかけた熾烈な探検航海といった「動」の世界が、一枚の作品になった時には永遠に美しい「静」の世界へと変換されているように感じました。
植物画の銅板画は躍動感が抑えられ、図書館を歩いているような感覚でいつも見るのですが、その裏にある情熱をこの展覧会では強く感じましたね。