「バルテュス展」

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 上野の東京都美術館で開催中の「バルテュス展」を見てきました。

 これ一枚だけでも見に行きたかったのは、ポスター等になっている椅子に座る少女を描いた《夢見るテレーズ》でした。

 一目見て、現実以上に厳しい空気の張り詰める世界に、圧倒されました。

 キャンバスという平面の中に、形と色が完璧に収まって空間が構築され、その中に少女が頑然と存在しています。

 描かれているものが示す方向性や質感が、皆意味を持っている、無駄なものは何もない。そういった強さがありました。

 両腕を左右に開いて頭の上で組み、片膝を立てて座る少女は一見開放的に見えますが、身体全体から全てを拒絶するようなオーラを放っているようでした。固くつむった目の横顔もそれを助長していて、少女に特有のある種排他的で残酷な一面を感じました。

 それとは正反対に、《美しい日々》では、己の美しさを十分理解した、蠱惑的な少女が描かれています。

 長椅子にくつろぎ、鏡に見入る構図は伝統的なヴィーナス像で、暖炉の前に跪いて作業をする男性もヴィーナスの夫で鍛冶の神のヘーパイストスに も見えて象徴的でした。

 でも、この絵を見て谷崎潤一郎を思い浮かべた自分は、日本人だなぁと思ってしまいました。

 エミリー・ブロンテ『嵐が丘』の挿絵も見応えがありました。鉛筆とインクのモノクロ作品ですが、殴り書きしたような力強いタッチやクロスハッチングがとても魅力的です。

 以前、別の展覧会で一つだけ見たことがありましたが、インパクトがあって覚えていました。今回は沢山見ることが出来ました。

 

 会場を入ってすぐにピエロ・デッラ・フランチェスカの模写があり、なるほど形と色の明快さのルーツはここにあったのかと。

 また、バルテュスの言葉で「私は芸術家という言葉が嫌いで、自分は画家もしくは職人である」というようなことが書かれていて、心に残りました。

東京都美術館

「バルテュス展」特設webサイト

 「バルテュス展」” に対して1件のコメントがあります。

  1. kyou2 より:

    >みちこさん
    >このポスターは衝撃的でした。こういう絵が一枚描ければ、本望かな。。。
    おっしゃるとおり、絵画の力って凄いなと思いました。

    >娘は、少女を性的対象にしている全てに拒否反応なので、軽蔑してましたが。。。絵の少女と同じく、潔癖です。
    そうですか。眩しいです。そんなお嬢さんがいらっしゃるみちこさんは素晴らしい。

  2. kyou2 より:

    >ワインさん
    >バルテュス展、私もはやく見に行きたいと思い続けていてまだ行っていません。
    分かりますその気持。私もやっと行けました。

    >バルテュスは少女の中にある神聖なものをみていたと何かで読みました。
    そうですか。神聖な少女は、やがてその効力を失うものですよね。
    そういう儚さもありますよね。

    > 芸術家という言葉が嫌いだという画家はほかにもいますね。そういう人はとても誠実だと思います。
    なるほど。
    バルテュスほどの天才がそう思っている、というところが本物の凄みです。

  3. みちこ より:

    このポスターは衝撃的でした。こういう絵が一枚描ければ、本望かな。。。(笑)娘は、少女を性的対象にしている全てに拒否反応なので、軽蔑してましたが。。。絵の少女と同じく、潔癖です。

  4. ワイン より:

    こんにちは。バルテュス展、私もはやく見に行きたいと思い続けていてまだ行っていません。少女の姿は挑発的に見えますが、実際に絵を見るとその逆なのですね。拒絶するようなオーラ、ある種排他的で残酷な一面を感じたkyouさん。バルテュスは少女の中にある神聖なものをみていたと何かで読みました。それが拒絶するような強いオーラとなって表れているのでしょうか。
    芸術家という言葉が嫌いだという画家はほかにもいますね。そういう人はとても誠実だと思います。私も芸術家とかアーティストという言葉にはどうも違和感を感じてしまう方です。

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