《ジャーマンアイリス》

 ベランダのジャーマンアイリス、今年やっと花が咲いたので描くことができました。

以前、郊外の畑の脇で立派なジャーマンアイリスを見て感動、「これは描きたい!」ということで、早速苗を買った…までは良かったんですけれど、咲くまでが実に長かった。

アヤメ科アヤメ属の花と言えば、例の「いずれあやめかかきつばた」で、見分けが難しいです。

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カキツバタ  「季節の花300」

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ハナショウブ

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アヤメ

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ジャーマンアイリス

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イチハツ

恥ずかしながら、このあたりの花は光琳の《燕子花図》の印象が強く、全体的に水辺の花のイメージを持っていました。でも、調べるとアヤメ属は水の中から、屋根の上でも育つものまで、実に環境に適応した種があって、遅まきながらやっと違いが分かるようになった次第です。

ちょっと整理して簡単な図も作ってみたりしました。

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端午の節句に用いる菖蒲(ショウブ)は、アヤメ(漢字で書くと菖蒲)やハナショウブ(漢字で書くと花菖蒲)とは縁もゆかりもない植物。

もともと菖蒲=アヤメと言うのはショウブ属のショウブのことで、アヤメ属のアヤメの方はハナアヤメと言っていたそうです。う~ん。

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ショウブ

他によく見るものでは水湿地に生える黄色のキショウブがあります。そういえば近くの川辺にもありました。

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キショウブ

黄色のハナショウブはないので外国から観賞用として持ち込まれたそうですが、在来種との交雑など影響があり、なんと「日本の侵略的外来種ワースト100」に指定されているそうです。きれいなので、駆除できないのがまた問題なのでしょうけど。

一方、湿原などに自生する赤紫色のノハナショウブはハナショウブの原種になります。

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ノハナショウブ

こちらはキショウブとは逆に、日本のレッドデータ検索によると、絶滅危惧種に指定している県もあり、大切に保護しなければならない植物です。

興味深かったのはイチハツで、学名はIris tectorum Maxim.です。

この学名は命名者のMaximowiczが日本の藁葺き屋根に植えてあるのを見て命名したそうで、 tectorumというのはラテン語で「屋根の」という意味。英語ではRoof irisと言うそうです。

イチハツが植えられたのは乾燥に強く、根がしっかり張ることで藁を押さえ、強風で家の棟が取られないようにする為とのことですが、目にも美しく何とも風情があります。

昔の東海道筋にあたる武蔵程ヶ谷(保土ヶ谷)の藁葺の家には、その家根の棟にイチハツが栽えてあって、花時にはその花があわれにも咲いてなお昔の面影をとどめている。もしも時の進みでこの藁葺の家がなくなれば、この風景が見られなく、きのうはきょうの物語りになるのであろう。   牧野富太郎 『植物一日一題』 より

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川崎市の日本民家園で撮影されたもの  「季節の花300」

今回ジャーマンアイリスを描いたことで色々調べ、面白い発見が沢山ありました。まあ、無知を実感したわけですが。

もう一枚ジャーマンアイリスの作品を仕上げたいのですが、どうなることか。今、ブルーベリーやローズゼラニウムも下描きを終え、彩色に入るところ。

二兎も三兎も追っているので、結果が危ぶまれます!

作品はこちら→《ジャーマンアイリス》

《ジャーマンアイリス》” に対して1件のコメントがあります。

  1. kyou2 より:

    >みちこさん
    羽化直後の蝶というのは、嬉しい例えです。ありがとう。実物はもっと繊細でしかもしっかり生きているんです。描ききれなくて、何度も描いてみたい植物です。
    民家園行ってみたいですね。イチハツは時期が早いのでもう無理ですけれど。

  2. みちこ より:

    kyouさんの描いたアイリスは、くしゅくしゅとした白い部分が、まるで羽化直後の蝶のように繊細ですね。水の通る脈(?)もきちんと描かれていて、見ごたえがある作品です。

    川崎の民家園は、いつも素通りしてしまうのですが、一度入ってみたいと思っている所です。イチハツが咲いているか確認したいな。

  3. kyou2 より:

    >ワインさん
    私もキショウブにはびっくりしました。きれいで良いなぁなんて呑気に思ってました。
    藁葺き屋根のイチハツ、今はあるんでしょうかね?藁葺き屋根自体も滅多にないだろうし。でも、無くなるには惜しい風景ですね。
    一番好きなのですか?正にいずれあやめ~ですよ。スッキリしたカキツバタも良いし、豪華なジャーマンアイリスも捨てがたいです。

  4. kyou2 より:

    >ちろりんさん
    作品褒めていただきとても嬉しいです。割りと大きめだったので、分割して入れました。
    花菖蒲はホント種類が沢山あって凄いですよね。愛好家の方は何々系ってすぐ分かるのでしょうね。
    菖蒲園の絵ですか、きれいでしょうね。

  5. kyou2 より:

    >mapleさん
    コメントありがとうございます。
    植物は知らないことばかりで、興味が尽きないですね。
    アヤメ属の繊細で複雑な花被片は本当に面白いです。

  6. ワイン より:

    キショウブが日本の侵略的外来種ワースト100とはびっくりしました。すごい悪者みたいな名前をいただいているんですね。こんなにきれいなのにね。(そういう問題ではないんでしょうけど・・)

    屋根の上にさくイチハツというのも初めて知りました。そういうかやぶき屋根の家、みたことありません「今年も屋根の上に花が咲いたから見においで」なんて言ってみたいものです。(笑)
    kyouさんはこれらの似たような花たちのなかではどれが一番お好きですか?

  7. ちろりん より:

    ジャーマンアイリスの作品・・・素晴らしいです。
    実物よりkyouさんの画かれたジャーマンの方が素敵だと思いました。
    それにつれてアヤメ・アイリスなど色々な事を調べられていて感動しましたよ。
    今こちらは花菖蒲でお宮の境内・公園など賑わっています。
    江戸菖蒲といって花も大きくて見事です(ジャーマンのように大きくありませんが)
    一昨年前にの菖蒲園を観に行き、色鉛筆で画きました。

  8. maple より:

    見分けが本当にむずかしいですね。
    それぞれ好む場所が違うのですね。
    勉強になりました。

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