「皇室の名宝-日本美の華」二期

先日、東京国立博物館で開催中の「皇室の名宝-日本美の華」二期を見てきた。

いや~、混んで混んで、疲れ果ててしまった。名だたる名宝ということに加えて、期間が2週間強と短いのでしかたがないのだが‥‥

兎に角、絶対に見たいものだけを出来るだけ時間をかけて見るようにした。

二期は「正倉院宝物と書・絵巻の名品」で、何と言っても正倉院宝物が素晴らしかった。

歴史の教科書でしか見た事がない品々を、一度にこれほど見られるという機会はそうないだろう。

「螺鈿紫檀阮咸」(らでんしたんのげんかん):聖武天皇遺愛の品。円い胴部と細長い棹が特徴的な四絃の楽器。

円い胴部の裏面は暗い色で、白く輝くヤコウガイで二羽のオウムが宝珠をくわえて飛ぶ姿が表わされている。

一見、点対称な図柄かと思ったが、オウムの形も宝珠の形もまったく違うもので、洗練された懲りように感動してしまった。

「平螺鈿背円鏡」(へいらでんはいのえんきょう):青銅製の鏡の背面を装飾した宝飾鏡。

ヤコウガイを細く線彫りして鳥、獅子、犀の動物を左右対称に配し、そのまわりを花文、雲文が囲んでいる。さらにその間から覗く背面には黒い樹脂が敷き詰められ、細かなトルコ石が撒かれている。

正に全面が埋め尽くされた濃密な世界。その過剰さは、ちょっと気持ちが悪くなるような美しさだった。

「螺鈿紫檀阮咸」「平螺鈿背円鏡」も8世紀、奈良時代のものだ。正倉院宝物は何世紀にも亘り人々の賞賛やら何やらを吸収してきたかと思うと、空恐ろしいような気もした。

絵巻で良かったのは、《絵師草子》(えしのそうし)。

ある貧乏絵師のところへ領地を下すとの宣旨があり、一族大喜びするが結局はぬか喜びに終わり、朝令暮改を風刺したものだそうだ。

貧しくて廊下の床が抜けるシーンや、喜び浮かれ踊るシーンが、マンガチックに描かれていて楽しかった。

その他にも「漆胡瓶」や貝桶・合貝、香箱など、贅と技術の粋を集めたような品々ばかりで、お宝に目がくらむようだった。

今は画集やカタログなどの写真もきれいで、わざわざ展覧会へ行かなくとも、家でゆっくり見た方がしっかり鑑賞できるという面もあると思う。

でも実物の大きさ、質感、存在感はやはり前に立たなければ分からないものもある‥‥しかし、混雑は辛い。贅沢な悩みだけど。

「皇室の名宝―日本美の華」公式HP

「正倉院」