蓮を見に
昨日、投票の帰りに三渓園へ蓮の花を見に行ってきた。
沢山咲いているところを見たのは初めてだったが、想像以上の美しさで感無量といった感じ。
間近で見る花は、花びらが夢のようにゆったりとした曲線を描いていて、時間を忘れるような心持ち。
極楽には時間が無いというが蓮の花を見ていると、なるほどそうかなぁという気がしてくる。
柔らかい緑色の葉は、身体を包まれたくなる感じ。
それにしても大きな葉で、よく葉を逆さまにして傘のようにしている絵を見るが、納得。
まだ花の余韻のある蓮の実の赤ちゃんの、なんと可愛いことか。
蓮の花が好きになったのは、もう何十年も前に読んだ本の影響もあるかもしれない。
和辻哲郎の『埋もれた日本』というエッセイ集で、中に「巨椋池の蓮」というのがある。
友人に誘われて、巨椋池(おぐらいけ)の蓮の花を、夜明け前に小舟で見に行った体験を書いたものだ。
ネットで調べてみたら、巨椋池は著者が「巨椋池の蓮」を書いた昭和25年にはすでに干拓されて無くなっていたようだ。
ずっと何にも知らずにいた私は、いつも蓮というと巨椋池の薄暗闇に咲く蓮を思い浮かべていた。
今も幻想の蓮は変わらず咲いているが、何となく蓮らしくて好いという気もする。
「三渓園」