戦々恐々
伊勢佐木町には老舗の有隣堂本店と、何軒か小さな古本屋さんがある。
その有隣堂の斜め前あたり、ユニクロのとなりに2ヶ月ほど前、ブックオフが出来た。
地上1F~4Fに本、地下1FにDVDやゲームソフトがある大型店で、ちょっとした書店より大きい。
こりゃ、小さな古本屋さんは大変だ。死活問題だわ。
有隣堂だってウカウカしていられない、むしろ客層が被るのはこっちかもしれないし。
マンガだって、売れ筋作家だって新品並みのものが105円からあるんだもんね。
あまり専門的なものは無いかといえば、そうでもなくボチボチあるし。
角店で、間口が広く明るく入りやすいのも、他の古書店にはないところ。
しかもどう見たって、他では何千円かする本が105円だったりする。
なんだか嬉しさも通り越して、本が可哀想な感じもするくらいだ。
とは言いつつも、105円なら子供がお小遣いでも買えるので、本人も私もとても有難いことには違いない。
兎に角、圧倒的な量なので、時間つぶしにはもってこい。確実にぶらぶら歩きのコースには入った感がある。
何回か行ったけれど、ついつい買ってしまう。
が、全く目にしないようなジャンルや作家も沢山あることはある。
普通の古本屋では見かける澁澤龍彦や塚本邦雄、中井英夫あたりは全然ない。
だいたい売りたくなっちゃうような作家じゃないものね…。
本を読むのも、図書館で借りたり、新刊書店、古書店、ネット検索で購入することも含めて選択肢が色々ある。
ブックオフもその一つに過ぎない。安いからといって偏重すると、頭の中がブックオフ的作家でいっぱいになっちゃいそう。気をつけよう。
周りの古本屋さんは、特色ある品揃えで勝負しない限り、太刀打ちできないだろうなぁ。
そういえばブックオフの、道を挟んで隣にも美術関係の本が結構ある古本屋さんがあったな。
相当なダメージじゃないかな?それとも客層が違うので、それほど影響ないのかな?
画像はブックオフで見つけた本
『十二の肖像画による十二の物語』 辻邦生 (文芸春秋)
初めて見た本で、おおっコレは!って感じで、まず表紙の美しさにまいったね。
こういう出会いは嬉しいな。A4版くらいの大きさで2400円→1000円で購入。
表紙のポライウォーロをはじめ、ファン・デル・ワイデン、デューラー、レオナルド、ブロンツィーノ、ピエロ・デラ・フランチェスカ等、ルネサンスの画家の肖像画が12点。
それに各々「妬み」「怖れ」「偽り」などのタイトルがつけてあり、お話しがはじまる形式のようだ。
・・・まだ読んでないけれど、なかなか面白そうじゃありませんか?
“戦々恐々” に対して3件のコメントがあります。
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買い疲れってありませんか。買うか買うまいか迷ううちに精神エネルギーを消耗して、やっと買ったのはいいのですが、家にもって帰る頃には、憑き物が落ちたように放り出してしまう。読みたいって思ったときにサッと買ってしまえばよいものを、迷ううちに別のものと格闘しているようになってしまう。初心を忘れるというのでしょうか。
伊勢佐木町の有隣堂、とても懐かしいです。いまも中2階が回廊のようになっているのでしょうか。古本の価値について、不思議に感じることがあります。高いお金を出して購入したものは、たとえ古いものでも大切にします。ところが同じ類の本を100円位で購入できた場合、「どうせ100円で買ったものだから」と、何となく自分の中で価値が下がるのです。そこらに放り出して、ぞんざいに扱ったりします。支払った金の多寡で、本の価値が上下してしまうのは、本当に現金な話だなぁ、と思います。
私もある店で通常ならば凄い価格の美術雑誌を500円で購入した事あります。
その時初めてピカソ、シャガールってこんな人だったのを知りました。
でも当時の画家が今の彼らの遺作をこうした型で評価してるのをどう思うだろうか?
きっと価格ばかり安易な投資目的で高くされたのを見てなげく気がします。