鯰絵など
『浮世絵探検』 高橋克彦 (角川文庫)
高橋氏と6人のユニークな面々による対談集。
画家・横尾忠則、 歴史家・宮地正人、 作家・荒俣宏、 漫画家・水木しげる、 作家・皆川博子、 精神分析家・新宮一成の各氏が、それぞれの切り口で語り、浮世絵の諸相をあらわにする。
宮地氏との対談は、時代と共にある浮世絵の本質がよく理解できて、興味深かった。
浮世絵のジャンルの7割は、幕末から明治にかけて生まれたものだそうだ。
新聞錦絵、鯰絵、疱瘡絵、横浜絵、歴史画、風刺画、地図、俯瞰図 ・・・
激動する世の中(浮世)で、普通の人々の「もっと知りたい」という欲求がダイナミックに湧き上がり、浮世絵はそれに迅速に答えていった。
形式にこだわらず、求められるものを供給していく柔軟性は驚きだ。
また、いくつかの対談を通して印象に残ったのは、浮世絵のリアリズムについて。
従来、歌麿の美人画というと皆同じ顔でリアリティがないと思われてきたけれど、例えば役者絵を見ると、絵師が違ってもこれは誰某だと分る。
そこから考えて、美人画というのも意外とリアリズムでやっていたのではないか。逆に選ばれて吉原へ来た人は、「時代に受ける顔」というのがあったのではないか。
現在のアイドルだけを集めた写真集をつくったら、後世の人にはほとんど同じに見える、そういうことが浮世絵にあったのではないか。と著者は述べている。
なるほどなぁ、と思う。
娘が見ている「セブンティーン」という雑誌にも“モテ顔のためのデカ目メイク”みたいのが載っていて、そのメイクによってほとんど同じような顔になる。
明らかに流行の顔ってある。それに近づけるための化粧っていうのもある。
一時期流行っていた、真っ黒い顔で白いアイシャドーのお嬢様方、そういえば見分けがつきませんでした。
北斎や歌麿、写楽といったビッグネームの展覧会もいいけれど、色々なジャンルの浮世絵、摺り物の展覧会も見てみたいものだ。
「小野秀雄コレクション」
http://www.isics.u-tokyo.ac.jp/pblc-achv/digital_archive/ono_collection/index.html
新聞錦絵をはじめ、面白い浮世絵が沢山ありワクワク物。鯰絵(鯰のながしもの、責められる鯰一家)は妙に可愛いです。
PS:今楽しみにしている展覧会はこれ↓近いうちに足を運びたいです。
「ニューヨーク・バークコレクション展」
“鯰絵など” に対して2件のコメントがあります。
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>kyou2さん 私の日記にコメントお付け下さってありがとうございました。本当に共通の好みの方に出会えるとは思ってもいなかったので感激しております。こちらこそどうぞ宜しくお願いいたします。本年度の浮世絵展示などを見つけましたらお知らせいたしますので是非情報交換お願いいたします。
どうも初めてお邪魔しました。植物画私も好きです。大変参考になりました。読書感想も充実していて素晴らしい。私も浮世絵好きなんです。鯨絵って可愛いですよね。これからも拝見します。頑張ってくださいね。末筆ながら私も最近日記つけていますのでKyou2さんのように読書続けようと思います。