花も虫も人も

春の数えかた

『春の数えかた』 日高敏隆 (新潮社)

日々目にする昆虫や草花、繰り返される季節の移り変わりや人の暮らし。

動物行動学者ならではの指摘が、興味をそそるスパイスになったエッセイ集。

「スリッパ再考」

日本は世界でもめずらしい「スリッパ文化」だという。

冬用・夏用スリッパは言うに及ばず、トイレスリッパ、和風スリッパ、ブランドスリッパ、健康スリッパ、やせるスリッパ、携帯用スリッパ等々。

病院、旅館でも使う、飛行機でも使う・・・・

著者は、「わらじを脱ぐという日本古来の習慣から生まれた日本独自の「洋風」文化」 としている。

この度重なる履き替えを、フランスのある建築デザイナーは、当初衛生面での事と考えていたが、後にそれは自分が今どこにいるのか、ということを意識するため。 と考えるようになったそうだ。

私も自宅で、フローリングではスリッパを履いているし、畳の部屋の前ではメンドーでも脱ぐし、トイレにはトイレのスリッパがある。

トイレ用のスリッパが無いお宅ってあるのかな?

そうそう、小・中・高等学校は上履きを履くけれど、大学じゃはかない。どうしてだろう。

前者は子供を受け入れるオウチ感覚、後者は大人が出入りするオソト感覚なのかしら?

公共施設で、誰が履いたかわからないスリッパを履くのは嫌だ、という人も多いだろう。

でも、はだしというのも気が引ける・・・。

どうしてもダメな人は、マイスリッパっていう手もあるのかな。

「ボディーガードを呼ぶ植物」

植物の葉を枯らす、ハダニというのがいる。それを食用とする肉食性のチリカブリダニというのがいるそうだ。

面白いことに、植物はハダニがつくと悲鳴を上げてチリカブリダニに助けを求めるという。

悲鳴はある物質でその匂いがチリカブリダニを呼ぶのだそうだ。さらに面白いことにその悲鳴を周りの植物も立ち聞きして、自分も匂いを発して未然に被害を防ぐべく、チリカブリダニを呼ぶらしい。

何だか擬人化されたグランヴィルの挿絵のような花が目に浮かぶ。

(下の画像はカサイさんのサイト「プリニウスの世界」

http://www.geocities.jp/kasai200228/index.htmlからお借りした画像)

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・・・が実際は、ハダニはやっかいで手強い、ベランダの鉢植えはしょちゅうやられている。ウチのは声が小さいらしい。

表題になっている「春の数えかた」に、生きものの種がちがえば、春のくる日もちがう。とあった。

若い頃はそれほどでもなかったけれど、このごろ樹木の四季の営みに、しみじみ感じ入ることがある。

花も虫も人も” に対して2件のコメントがあります。

  1. ワイン より:

    家以外でスリッパはくのって、私はどうも好きじゃないです。できれば裸足でいたいくらい。でもそうも言ってられないですしね。

    植物はハダニがつくとある匂い物質をだして、ハダニの天敵のチリカブリダニを呼び、回りの植物もそれに連動して匂い物質を出すというしくみは面白いですね。なぜハダニがついていない植物までもが匂い物質を出すのか?すごく不思議です。

  2. deguchi より:

    携帯スリッパって、海外に行くときに便利なんですよね。
    飛行機の中もそうですが、
    向こうのホテルは日本みたいにどこでもスリッパがなくて、
    また、そんなにきっちり掃除をしていなかったりするので、
    裸足で歩くと、足の裏が汚れてしまって…。
    そんなときは重宝しますね。
    あと、温泉へ行くと、
    湯上りに自分が履いてきたスリッパは、たいていなくなっています。
    仕方なく適当に誰かのを履いて帰りますが、
    ちょっと気になりますね…。

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