[展覧会] クリムト展 ウィーンと日本1900

先日、上野の東京都美術館で開催中の「クリムト展 ウィーンと日本1900」を見てきました。

クリムト展

 

今回はクリムトの《ユディットⅠ》が来ているので、それだけでも見に行きたいという気持ちでした。会場は結構混んでいたので最初はざっと飛ばしてお目当ての作品へ直行。

ユディットは祖国のために敵将ホロフェルネスの首を刎ねた寡婦で、その美貌や勇敢さなどからファムファタール(運命の女、魔性の女)として絵画に描かれることが多い人物です。
この主題を描いたクラーナハ、カラヴァッジョ、ジェンティレスキ、そしてクリムトの作品が特に有名で、いずれもセンセーショナル且つそれぞれに主題の捉え方の違いや個性も相まって興味が尽きません。

クリムトのユディットを目の当たりにすると、その妖艶な美しさに釘付けでした。細やかなタッチで写実的に描かれた顔は何とも言えない恍惚の表情。繊細な指先にはホロフェルネスの生首がまるで置物でも触るかのように事も無げに描かれているのも印象的です。クリムトにとって描きたいのは彼女だけという感じもしました。
流れるようなタッチで描かれた腕や乳房がつくる陰影の微妙な色、グレーの幅も凄いテクニックだなぁと。完璧にモデリングされた人物と平面的に描かれた金の模様とのコントラストは絶妙です。上部にユディットとホロフェルネスと刻印された装飾的な金の額縁はクリムトのデザインとのことで、全てが完璧でゴージャスに仕上げられていると感じました。

もう一つ印象に残った作品は《オイゲニア・プリマフェージの肖像》で、鮮やかな黄色や様々な明るい色を使っているのにどこかクールな品があって素晴らしかったです。対照的に正方形のキャンバスを斜めに分割するように女性を描いている《白い服の女》は、限られた色彩の中で一層色味が感じられて心に残りました。

「クリムト展 ウィーンと日本1900」

 

[展覧会] クリムト展 ウィーンと日本1900” に対して2件のコメントがあります。

  1. kyou より:

    >若林賢二さん
    お久しぶりです。相変わらずご活躍で素晴らしいです。時々見る番組ですが、今回は是非拝見しますね。
    お知らせくださってどうも有難うございました。

  2. 若林 賢二 より:

    お久しぶりです、以下、撮影しました、
    よかったら、観てください。

    https://www4.nhk.or.jp/nichibi/x/2019-06-09/31/19024/1902803/

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