「ブリューゲル展 画家一族150年の系譜」

 東京都美術館で開催中の「ブリューゲル展 画家一族150年の系譜」を見てきました。

 ピーテル・ブリューゲル1世から始まって子、孫、ひ孫と150年もの間続いた画家一族の作品を体系的に捉えることが出来る展覧会で、ブリューゲル1世の画風を受け継ぎつつ、各自が個性を獲得していく過程が興味深かったです。

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 子のヤン・ブリューゲル1世は「花のブリューゲル」として有名ですが、ヤンの子や孫まで連綿と花を描いているとは知りませんでした。ヤン・ブリューゲル1世と2世の共作の《机上の花瓶に入ったチューリップと薔薇》は黒の背景に花がお行儀よく顔を出しているといった感じの典型的な花卉画(かきが)で、それぞれ何の花だか分かるようになっているのがこのタイプの特徴です。珍しい花が沢山描かれていることがステータスだったのだと思います。

 ピーテル・ブリューゲル1世のひ孫のアブラハム・ブリューゲルはイタリアで活躍したとのことでカラヴァッジョ風にフランドルがミックスされたような感じでした。

 

 今回一番印象的だったのが、同じくピーテル・ブリューゲル1世のひ孫のヤン・ファン・ケッセル1世の《蝶、カブトムシ、コウモリの習作》、《蝶、カブトムシ、コウモリ、カマキリの習作》の2点でした。

 なんと大理石の上に油彩で描かれた博物学的な細密画です。大理石の模様が透けるトンボの羽の美しさは他に類を見ないのではと思いました。この絵を見られただけでも良かったと思える珍しい作品でした。

 見終わってピーテル・ブリューゲル1世の良い作品が少ないのが残念でしたが、そうするとそれだけが目立ってしまうかなという気がしました。開祖は別格だったと改めて思わざるを得ませんでした。

 それと、風景画など全体に細密描写が多々ありましたので、単眼鏡を持って行って大変重宝しました。展覧会に行くときは、度の違う老眼鏡を2つと単眼鏡を持っていくので面倒なんですが(笑)

 

 後日になりますが、家で花卉画についての本を読み返していると文中に、ヤン・ブリューゲル1世がパトロンにあてた手紙で「稀少な園芸種を集めた花束は宝石やコインと同じ高価さを持つ」と書いて送ったという記述がありました。展覧会でひ孫のアンブロシウス・ブリューゲルの花卉画に「指輪とコイン」が描かているものがありましたが、正にこれだなぁと思いました。

 貴金属、お金、楽器、時計や骸骨、それに花などが描かれている静物画はヴァニタスという「人生は虚しい」という事を表した絵画のジャンルですが、私にはブリューゲルの花の絵を見るかぎり、正直、ヴァニタスと言われてもピンときません。むしろ純粋に花の美しさや珍しい花を描く画家の興味が勝っているように感じます。

 まあ、この絵にはもっと深い人生の意味があるのですよ~、と画家は言っているのかもしれませんが。

花のギャラリー―描かれた花の意味

花のギャラリー―描かれた花の意味

東京都美術館「ブリューゲル展 画家一族150年の系譜」

特設WEBサイト「ブリューゲル展 画家一族150年の系譜」

 「ブリューゲル展 画家一族150年の系譜」” に対して2件のコメントがあります。

  1. kyou2 より:

    >ワインさん
    単眼鏡、メインの目的は同じ日に見た仁和寺展の曼荼羅だったのですが、そちらでは絵画関係にあまり時間が取れなかったので、もっぱらブリューゲルで活躍しました。
    ワインさんとはしょっちゅう見る展覧会がかぶりますよね(笑)

  2. ワイン より:

    kyouさんはきっとブリューゲル展に行かれるだろうと思っていました。植物画とはすこしちがった花の絵ですよね。ひとつひとつはとても細密画的なのに、全体像がなんとなく工芸品のようにみえるのは、そういうことだったのですね。確かに今以上に園芸植物は貴重だっただろうと想像がつきます。
    単眼鏡、ちゃんとお持ちになっていかれたんですね。私はもっていないのですが、夫のを借りていけばよかったなとあとになって思いました。

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