「ヴェネツィア・ルネサンスの巨匠たち」
国立新美術館で開催中の「アカデミア美術館所蔵 ヴェネツィア・ルネサンスの巨匠たち」を見てきました。
今回の見どころの一つはティツィアーノ・ヴェチェッリオの高さ4mの大作《受胎告知》ですが、その他にもベッリーニ、クリヴェッリ、ティントレットと豪華なラインナップになっています。
最初に目を惹いたのは、聖母子の背景に真っ赤な智天使が描かれているジョバンニ・ベッリーニの《聖母子(赤い智天使の聖母)》でした。
幼子の顔と羽だけで表されている智天使は少々不気味ですが、上位の天使の熾天使や智天使はそういう姿で描かれることが多いようです。また、天使にはヒエラルキーがあって最上位の熾天使が赤、次の智天使は青(黄金色)で表されることが多いのですが、この作品ではわざわざ「赤い智天使」となっているのが気になりました。
同展のFacebookページ https://www.facebook.com/venice2016/ によると、
なぜ赤いのか?それはこの絵がサンタ・マリア・デッラ・カリタ大同信会に置かれていた事によるようです。「慈愛(カリタ)」= 赤…。
とのことですが、それでもなぜ熾天使ではなくて智天使なのかはよく分かりませんでしたが、いずれにしても鮮やかな色彩でインパクトある作品でした。
カルロ・クリヴェッリの《福者カコポ・デッラ・マルカ》《聖セバスティアヌス》は、小品ながら硬質な画面と強い輪郭線や人物の表情、石ころ一つにまでくっきりと影が刻まれる執着心がクリヴェッリらしく個性的でした。
また、ジョヴァンニ・フランチェスコ・カロートの《縫い物をする聖母》は、聖母がちゃんと右中指にキャップ型の金属の指ぬきを付けており、当時の様子が伺えて面白いと思いました。
会場をしばらく行くとティツィアーノ・ヴェチェッリオの《受胎告知》がそびえていて壮観!
天から聖霊の白い鳩が舞い降りてくる部分は本当に光り輝いて見えます。一大事の瞬間を動きのある構図と熟練の筆遣いでよりドラマチックに描き出していました。
ドラマチックで躍動的といえばヤコポ・ティントレットも外せません。《聖母被昇天》は画面全体が螺旋状に伸びあがっていく感じで素晴らしかったです。
また《動物の創造》は旧約聖書の神が多様な生き物を創造している場面で、神と生き物たちが揃って右から左へと移動している様子がちょっとシュール…。一方、すぐ隣の《アベルを殺害するカイン》では生々しい殺人の現場がリアルに描かれていて、その振れ幅の大きさにティントレットの偉大さ感じました。
“ 「ヴェネツィア・ルネサンスの巨匠たち」” に対して2件のコメントがあります。
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>ワインさん
先週の平日に行ったのですが、割と空いていたので《受胎告知》もゆっくり見られました。大らかな迫力がありました。
それと、何というか如何にも西洋っぽい絵が多かったです。「人物が多いなぁ、おなか一杯」という感じもしました(笑)
この展覧会、気になっているんですが、まだ見に行っていません。ヴェネツイアに限られているというところがみそでしょうか。受胎告知の絵がとても印象的だとの書き込みがありました。
やっぱりゆっくりと見に行くべきでしょうね・・