「ボッティチェリ展」
東京都美術館で開催中の「ボッティチェリ展」を見てきました。
以前からボッティチェリの画集などで目にする作品を実際に見ることが出来て感激でした。
会場を入ってすぐに今回の目玉の一つ《ラーマ家の東方三博士の礼拝》があり、当然の事ながら早くも渋滞が始まって流石にゲンナリしましたが、気長に我慢強く見るしかありません。
作品はピラミッド型の頂点にマリアが配置されているのですが、加えて手前の斜めの赤いマントやその隣の人物の視線などからも「キリストとマリアと博士」に目が行くようになっており、自然と物語の核心に引きこまれていくような感じがしました。
また、人物たちの作る様々な曲線に対比させた背景の直線的な石組みが実に効果的だと思いました。
初来日の《書物の聖母》は鮮やかな色彩で発色の良さが質の高さや画家の気合の入れようを如実に伝えているようでした。私としてはこの作品が見られただけで来て良かったと思いました。
特にキリストの頭部や手足の立体的な形の正確さと美しさは目を見張りました。繊細な輪郭線に囲まれた内側の肉付けは形に沿ったハッチングで、いつまでも見ていたいほど見事でした。人体の緊張感とニュアンスのある輪郭線を見れば、ボッティチェリか工房の弟子によるものか分かるのではないかというような気がしました。
ところでボッティチェリの首を傾げたポーズは有名ですが、ちょっと可笑しかったのはある工房作品に描かれた人物がことごとく首を傾げているのです「えっ、傾げ過ぎじゃない?!」と思わずつぶやいてしまいました。
また、一緒に展示されていたリッピ親子の作品はあまり見栄えがしない感じで、モダンで最高に美しい聖母を描く師のフィリッポ・リッピが引き立て役のようで少々気の毒に思えました。
久しぶりに混雑している展覧会で、「名画はもっとゆったり見たいなぁ」とつくづく思いましたが自分も混雑の原因の1人ですからね。
会場を出たところで同館で開催予定の「若冲展」のパンフレットなどが目に入り一応入手。しかしこれ以上の混雑は必至。「動植綵絵は何度も見たし今回はパスかなぁ」という気持ちがして少々凹みました。
“ 「ボッティチェリ展」 ” に対して4件のコメントがあります。
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>ワインさん
>書物の聖母は金の使い方がとても印象に残りました。繊細で効果的で、まるで工芸品のようですね。
そうですね。私は感情や自己主張がむき出しに表現されてが~んとくる作品より工芸品のような作品のほうが好きです。
>イエスも聖母もとても知的な雰囲気だと思います。
そうですね。ボッティチェリって感傷的な雰囲気ありますが、この作品はもう少し凛としてますね。
>「首を傾けたポーズ」・・気づきませんでした。
どの作品だかはっきり覚えていないのですが、何人かが立っている作品だったと(笑)
混雑していたのですね。それでも我慢強く並び、そしてじっくりと絵を鑑賞されているkyouさんの姿が目に浮かびました。書物の聖母は金の使い方がとても印象に残りました。繊細で効果的で、まるで工芸品のようですね。そして、イエスも聖母もとても知的な雰囲気だと思います。「首を傾けたポーズ」・・気づきませんでした。演出家だったのかしら?(笑)
>きよぴーさん
>心を洗われるような青、
そしてキリストを見つめる聖母の眼差しの温かさを感じる絵画でした。
そうですね、本当に青が素晴らしくて。おっしゃるように静かで温かい聖母像ですね。
>『ラーマ家の東方三博士の礼拝』イタリアに行った時に観ました。
>ヴィーナス誕生や春(プリマベーラ)と同じ部屋に展示してありました。
おお、それは羨ましい限りです。ウフィツィ美術館行ってみたいです~。
私ももっと大きな絵だと思っていました。
会場に入ってすぐの混雑、すべてを飛び越して『書物の聖母』へ(笑)
どこを見ても緩みない素晴らしい絵画でした。
心を洗われるような青、
そしてキリストを見つめる聖母の眼差しの温かさを感じる絵画でした。
>モダンで最高に美しい聖母を描く師のフィリッポ・リッピが引き立て役のようで少々気の毒に思えました。
おっしゃる通りでした。
比べて見て、より一層、ボッティチェリのすごさを感じました。
『ラーマ家の東方三博士の礼拝』イタリアに行った時に観ました。
ヴィーナス誕生や春(プリマベーラ)と同じ部屋に展示してありました。
大きな絵だった記憶があるのですが、
今回の展示で、自分が思ったいたよりちょっと小さくて驚きました。
kyouのおっしゃるように、それは構図や配置による妙だったのだとつくづく思い返しました。