『徳川の家紋はなぜ三葉葵なのか』 

 戦国武将から江戸の武士まで、彼らにとって植物は愛でる対象のみならず、食料にも毒にも薬にもなる重要な戦略物資でした。武将・武士と植物のユニークな関係性から、新たな視点で歴史と植物が楽しめる本です。

 例えば加藤清正は朝鮮で厳しい籠城戦を経験したので、熊本城は籠城に備えて畳の芯や土壁のつなぎにサトイモの茎のズイキを使ったり、壁には干瓢を塗り込んだりしたそうです。またお堀にはレンコンを栽培して非常食としたそうで、100%以上の植物利用が素晴らしいです。

 ちょっと意外だったのは織田信長で、彼の好きな花は何かというと「トウモロコシ」だそうです。

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トウモロコシ (雌花)

 トウモロコシはヨーロッパでも観賞用として持ち込まれたそうで、新し物好きの信長がトウモロコシの赤く光沢がある雌花、「絹糸」を好んで珍重していたというのも、言われてみれば納得ですね。

 

 また、天下泰平の江戸の武士が園芸を芸術の域にまで高めた功労者であったことは、その昔、生死の際に植物を食料や武器・毒薬として使用したことを考えると、時代の移り変わりを感じました。

 

 最後に本書で「利休七選花」というのを初めて知ったので、忘れないようにちょっと記録。ハクウンボク、ヤマボウシ、ムシカリ、ナツツバキ、マルバノキ、シロワビスケ、オオヤマレンゲの7種だそうです。

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ハクウンボク   画像:「季節の花300」

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ヤマボウシ

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ムシカリ

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ナツツバキ   画像:「季節の花300」

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マルバノキ  左(葉) 右(花)   画像:「植物園へようこそ」

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シロワビスケ   画像:「季節の花300」

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オオヤマレンゲ   画像:「季節の花300」

 花は白いものが利休好みなのでしょうか、流石に風情がありますね。