「ナショナル・ギャラリー 英国の至宝」
横浜にあるミニシアター、ジャック&ベティで「ナショナル・ギャラリー 英国の至宝」を観てきました。
舞台はロンドンのナショナル・ギャラリー。
世界中から熱心な美術愛好家からほとんど興味のない観光客まで訪れる。迎えるナショナル・ギャラリーでは、学芸員、専門家、事務職員から掃除係まで日々多くの人が運営に関わっている。
監督はそんなナショナル・ギャラリーを興味の赴くままに自由に切り取り、コラージュしているように思えた。
3時間という長丁場、次々と映しだされるのは学芸員の主義主張、活発に行われるワークショップや講義、修復家の手法や拘り、予算削減の問題、さり気なく当たり前に置かれている名画、その設置場所や模様替え、稼ぎ頭のレオナルド・ダ・ヴィンチ展の様子、建物の周りの風景、社会との関わり等々。ナレーションなし、BGMなし!
結果としてナショナル・ギャラリーにある名画のいくつかを些細に見られるのではないか、という私の期待は見事に外れたが、ナショナル・ギャラリーのリアルな姿を垣間見ることは出来たように思う。
しかし、一番強く感じたのは巨匠と言われる監督の個性かもしれない。「自分はナショナル・ギャラリーをこう見た、こう感じた、ここに興味があった」ということのみ印象に残った。だから淡々としているようで、実にアクが強かったとも思える。
ドキュメンタリーも色々な作り方があるのだなぁと思った。
私としては前回見た「みんなのアムステルダム美術館へ」の方が纏まりがあって映画として面白かった。何よりその美術館に対してとても魅力を感じた。
予告でまたまた「ヴァチカン美術館 天国への入口」という、如何にもスゴそうなのをやっていた。さてどうしたものか。美術館ものが続くなぁ。
“ 「ナショナル・ギャラリー 英国の至宝」” に対して2件のコメントがあります。
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>ワインさん
ワインさんはバレエもよくご存知なので、『パリ・オペラ座のすべて』ご覧になったんですね。
そうですか、この監督さんはこういう感じなのですね。納得です。
映画の最後の方に、ティツィアーノの絵の前でバレエをするシーンがあるんです。
私はよく分からないのですが、割りと現代的なバレエに見えたので、ティツィアーノと合うのかどうか微妙でしたが、インパクトありました。
ワイズマン監督のドキュメンタリーは他の映画もそういうふうですね。『パリ・オペラ座のすべて』というドキュメンタリーを見たとき、同じことを感じました。徹底的にリアリストですね。
バレエ団も美術館も、訪れる人にとっては夢を見に行く場なのだと思うのですが、それを見事にくつがえされる感じがします。けれども、そんな視点はドキュメンタリーならではの面白さかもしれません。