「丸紅コレクション展 衣裳から絵画へ 美の競演」

先日「丸紅コレクション展」と「アンドリュー・ワイエス展」どちらも終了間近の展覧会へ行ってきた。

新宿の損保ジャパンの「丸紅コレクション展」では、何と行っても日本にある唯一のボッティチェリ作品《美しきシモネッタ》を見るのが目的だった。

シモネッタ・ヴェスプッチは1475年に催された騎芸競技会(ジオストラ)で優勝した、当時の支配者ロレンツォ・ディ・メディチの弟で、美男の誉れ高いジュリアーノ・ディ・メディチの愛人といわれた貴婦人。

しかし、大会の翌年彼女は23歳の若さで亡くなり、そしてジュリアーノもその2年後殺害されてしまう。

若くして散った美男美女カップル。そしてシモネッタは伝説的な美女として様々な画家に描かれることになる‥‥。

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サンドロ・ボッティチェリ《美しきシモネッタ》

ボッティチェリの作品は意外なほど明るく、ずいぶんさっぱりとしているな、というのが第一印象だった。

こうやって見ると、むしろ画像の方がニュアンスのある感じに見えなくもない。

細部が良く分かる『原寸美術館』(小学館)で、同じボッティチェリの《春(プリマヴェーラ)》を見ると、人物の顔は形にそって丁寧なハッチングが見られ、それが手ごたえある肉付を生んでもっと立体感があるように感じる。

それに比べるとシモネッタは横向きということもあるが、やや平坦な感じがした。背景も凝ったものでなく、どちらかといえば質素な感じだ。

でもそれが逆に、若くして亡くなった美女の、清楚な美しさを際立たせているのかもしれないが。

兎にも角にも、ルネサンスの作品を目の当たりに出来るのはとてもうれしい。

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ピエロ・ディ・コジモ《シモネッタ・ヴェスプッチの肖像》

シモネッタというと、個人的には澁澤龍彦の西洋の魅惑的な女性像を集めたエッセイ、『幻想の肖像』で最初に登場するピエロ・ディ・コジモの作品をまず思い浮かべる。

澁澤はルネサンス屈指の奇矯な画家コジモと、幻想の美女シモネッタの組み合わせに、不思議になつかしい、ロマネスクな感覚にとらわれると書いている。

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伝レオナルド・ダ・ヴィンチ《女性の頭部》

もう一枚はレオナルド・ダ・ヴィンチが描いた?といわれるシモネッタ。彼女の亡骸を描いたものといわれているが‥‥。

三枚の絵に共通して見られるのは凝った髪型。当時の流行なのだろうか、編みこみがおしゃれ。

他に展覧会で面白かったのは、着物のコレクション。丸紅は元々呉服商から始まったそうだ。

私は今回はじめて知ったのだが、「御所解(ごしょどき)」という言葉があるそうだ。和服の文様の一種で、御所車とか几帳、檜扇などの雅なものを描いたり、源氏物語の一場面や和歌などを表わした図柄のものをいうそうだ。教養が問われると同時に、さりげない教養のアピールでもある文様だなぁと思う。

こういう図柄が描かれた着物は見たことがあるが、ちゃんと名称があるとは知らなかったので、勉強になった。

江戸も今も優雅さを御所や平安時代に求めているのも興味深かった。

「アンドリュー・ワイエス展」の感想はまたあとで‥‥。

「損保ジャパン東郷青児美術館」

http://www.sompo-japan.co.jp/museum/exevit/index.html

「丸紅アートギャラリー(丸紅コレクション)」

http://www.marubeni.co.jp/gallery/index.html