傑作の次は

雷の季節の終わりに

『雷の季節の終わりに』 恒川光太郎 (角川書店)

デビュー作の『夜市』があまりに素晴らしかったので、どうしたって二作目は期待値が高まる。

さて、今回の作品はいわゆる隠れ里の話で、そこに暮らす少年・賢也が主人公。

「穏」と呼ばれるそこは、春夏秋冬の他にもう一つ、冬の後に「雷季」というのがある。

雷の季節は風が荒れ狂い、無数の雷が轟く。穏の人々はじっと家の中で雷季が過ぎてゆくのを待つばかり‥‥。

姉が私の手を握って囁く。

―風わいわいが啼いている

―風わいわい?

―風わいわいは、雲から降りてきて、そこら中を走って、見つけた人間に取り憑くのだって。 (p4)

ある雷の季節に、姉は突然いなくなり、入れ替わりに賢也には風わいわいが取り憑く。

その後、ある事件に巻き込まれ「穏」を追われ、現実の世界へ渡った賢也だったが、そこには新たな脅威が待ち受けていた‥‥。

作品の根底に、森羅万象の神秘が泉のように湧き出ているのは、著者が沖縄県住んでいることが無関係ではないように思う。

スケールの大きい突き抜けるような明るさと、底なしの暗さがあって、それが読者を日常から、一時どこか別のところへ連れて行ってくれる。

穏の幻想的な描写や、墓町、闇番などといった魅力的な言葉は、『夜市』同様堪能できた。

けれど後半は、穏と現実世界の様々な関係性の説明が、辻褄合わせのようで、私には少し煩わしいような感じがした。