あまりに玉に瑕な

500の自画像

『500の自画像』 (ファイドン)

本書のサイズは18 x 12 x 4.2 cmとまるで辞書のような外観。

掲載されているのは、年代順に並べられた紀元前2350年から1997年までの自画像。個々の作品の説明は無く、ただただ自画像が続く画集だ。

画家が自分をどう見つめ、どう表現したかを見る愉しみ、またそれが連綿とつながり一冊が簡潔な美術史となっているのを確認する愉しみがあった。

概ね一人一枚ずつ自画像が載っているが、一番多いのやはりレンブラントで10枚と異例。

描き方も年齢と共に変わるが、その表情も初々しい顔、しかめっ面、ビックリしたような顔と忙しい。

たまたま先週、新聞にレンブラントの自画像の記事が出ていた。

「知られざる傑作」

昨秋英国で17世紀オランダの画家レンブラントの自画像の贋作として競売にかけられた作品が、実は本物だったことが分かった。開始価格は1500ポンド(約32万円)で、匿名の英国人が約220万ポンド(約4億7000万円)で落札した。縦約24センチ横約17センチの小品だが、笑い顔の作品ということもあり、専門家は「2000万ポンド(約42億円)の価値がある」と太鼓判を押している。(ロンドン=AP、写真も)

2008年6月24日 読売新聞、地球ON-LINE  

自画像はこちらで

http://www.asahi.com/showbiz/enews/RTR200806250078.html

いやいや、匿名氏の眼力もさることながら、笑い顔に高ポイントってところが面白い。価格の話はもう驚くばかりで。

話が画集から逸れてしまったが、兎に角、画家を網羅しており内容充実、見ごたえ十分。

しか~し、問題が一つ!

その圧巻ゆえの分厚さ、4.2センチをペーパーバックでは無理ではないか?

購入して直ぐに本体が背表紙から剥がれた。本体の紙が光沢のある厚い紙なので、厚紙一枚の背表紙に貼り付けただけでは到底持たない。

実は図書館でこの本を見つけたときも、図書館の人が工夫して補修したあとがあった。本体価格1980円と安価なのはありがたいが、個人的にはもう少し高くてもいいから上製本の方が良かったと思う。

剥離は十分予想されていたことだし、内容と天秤にかけて購入したことだから、別に怒るつもりもない。

とは言っても、さて、どうやって更なる崩壊を防ごうかな。

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