エンジェル・コネクション

国のない男

『国のない男』 カート・ヴォネガット/著 金原瑞人/訳 (NHK出版)

本の帯に爆笑問題の太田さんの紹介があり、目に留まって読んでみた。

現代アメリカ文学を代表する作家、カート・ヴォネガット‥‥初めて読む。

去年亡くなられたそうで、本書が遺作とのことだ。

ユーモアとアイロニーを巧みに織り交ぜ、人生や文明社会について、文学やテクノロジー、芸術について語る。

まず楽しく読ませて、次に深く考え込ませる。

善が悪に勝てないこともない。

ただ、そのためには天使が

マフィアなみに組織化される必要がある。

外国人がわれわれを愛してくれているのはジャズのおかげだ。外国人がわれわれを憎むのは、われわれがいわゆる自由と正義を押しつけようとしているからではない。われわれが憎まれているのは、われわれの傲慢さゆえなのだ。

ブッシュ政権批判がいたるところにあり、アメリカの絶望的な状態を憂いつつ、軽やかにこの世とオサラバしたのだな、と言う感じのエッセイだった。

政治は難しい。

自分でも避けて通れない問題とは思いつつ、かなり直接的に身に降りかかる危機を感じない限り、積極的に関わらないだろう。そうしていられるだけ幸せというものだ、とも思っている。

太田さんは政治的だ。そういえば総理大臣だっけ‥‥。

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