愉しむ絵巻
東博から六本木のサントリー美術館へ移動。「鳥獣戯画がやってきた!」を見た。
《鳥獣戯画》正しくは《鳥獣人物戯画絵巻》、これが甲乙丙丁の4巻すべてが揃うというのだから素晴らしい。
館内に入ると、意外と混んでいてケースの前を一列に並んで進むパターン。
じっくり留まって見ていられないのが残念だった。
おまけに《洛中洛外図》で時間を使ってしまい、帰る時間も迫っていたので、同じ作品を戻って見ることが出来なかったのも、もったいなかった。
会場ではゆっくり見られなかったが、図録がなかなかユニーク(しかも木綿のエコバック付き)ゆっくり見るのは、図録で‥。
《鳥獣戯画》の甲巻はご存知、兎、蛙、猿が中心になって相撲を取ったり、弓を射ったりするものだ。しかし、甲巻はもともとの形から幾つかの絵が抜けてしまったり、順番が変わったりしているそうだ。
今回の展示では、断簡や模本から逆に本来の形の推測がなされていて興味深かった。
それにしても、何故兎や猿といっしょに蛙が入っているのだろう?まあ、蛙はかなり存在感あるし、跳躍という点では兎と競うのかな。
擬人化されている動物と、されていない動物がいるのも気になるところだ。
また甲巻、丙巻の最後に蛙の天敵蛇が出てきて、蛙が本来の蛙の姿になって逃げ出す~というオチがあったとは、今回始めて知ったことだ。
それと乙巻に出てくる霊獣とされる犀(玄武?)、麒麟、豹、山羊、虎、獅子、龍、象、獏。次々と並べられているのは珍獣図鑑のようで面白かった。
《鳥獣戯画》以外で絶対に見たかったのが、《鼠草子絵巻》。
この二つに鼠が出てくるが、前者は野鼠、後者は擬人化した町鼠で、御伽草子の主人公になっている鼠だ。
人々の暮らしが豊かになって、食料が保存されるようになり、それを狙って鼠が家に住み着くようになった。鼠草子は人の生活の変化が、人間と鼠がより密接になったことの反映だそうだ。
同じ擬人化された動物たちでも、《鳥獣戯画》の方は、自然の中で自由にのびのびと遊び暮らしている。その自由さに憧れる。
一方、《鼠草子絵巻》の鼠は、管理社会に組み込まれた人間そのものだ。見ていると何となく、健気で哀れなように思えることがある‥‥。
驚いたのは《勝絵絵巻》と《放屁合戦絵巻》
《勝絵》は男性の陽物比べ、これがバカバカしいほどの「大きさ」で。
《放屁合戦》は裸の男たちによるオナラパラダイス。
両者あまりに尾篭で開放的過ぎるため、女性(私も)はやや足早に通り過ぎ、ここは比較的空いているような気がしましたね。
「サントリー美術館」