ネーミングライツ

自分たちの歴史を、お金に換算してよいものだろうか?

そんな疑問を感じたのは、知り合いから横浜市が「横浜開港資料館」と「市歴史博物館」のネーミングライツの売却を検討していると教えられたからだ。

今月10日の朝日新聞で報じられたそうだが、ウチは朝日ではないので全く知らなかった。

(詳しい内容はこちらに)

http://mytown.asahi.com/kanagawa/news.php?k_id=15000000711100005

最初、ネーミングライツって何だっけ?と思ったが、そういえば新横浜の競技場も「日産スタジアム」に変わったなと思い出した。

財政難を解消する効率の良い方法だというのは理解できる。‥‥それにしても、だ。

競技場や娯楽施設はいざ知らず、横浜の歴史や文化を代表する施設に一企業の名前を冠してよいものだろうか?

企業名がついたとして、横浜の歴史とその企業との関係など、誤解や混乱は生じないのだろうか?

もし、その企業のイメージが下がったときはどういう結果になるのだろう?

等々考えると、両施設のネーミングライツの売却にはとても違和感を覚える。

私は横浜の歴史に詳しいわけでも何でもないが、少なくとも愛着は感じている。

「横浜開港資料館」や「市歴史博物館」の企画展や展示は、堅実で親しみがあり、興味深いものがあると思う。

解説や表示を見ると、市民からの寄贈や提供が多い。それは両施設が公共の施設として、信頼され託されている証だろう。

財政難とは言え、公はそういう公共性のある文化施設にこそ、お金を使うべきではないのだろうか。

そもそも、名は体を表わすというではないか。

「横浜開港資料館」や「市歴史博物館」はその名のとおりのものであると思うし、そうあり続けて欲しいと思う。

再来年は「横浜開港150周年記念」とのことで、横浜市は色々な行事やお祭りを計画しているようだ。

しかし、当の横浜の歴史が一企業に売り渡されるような事になるのであれば、私は戸惑いや失望を感じずにはいられないだろう。

トップの写真:横浜開港資料館所蔵絵葉書 

「横浜開港資料館」 http://www.kaikou.city.yokohama.jp/  

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