好きな作家は?
『』の中に指定する言葉を入れてまわす「指定型バトン」というのがあるそうです。
『作家』という、バトンを折角受け取ったので・・・遅ればせながら、ちょっと考えてみました。
『作家』というより、作品(小説)中心に答えちゃっているかもしれません。
まぁ、ゆるめに見てやってください。
◆最近思う『作家』について
そう言われると、このごろ作家の書く「小説」をあまり読んでいないなぁと。
作家ではありませんが、日本中世史・絵画史料論の黒田日出男さんの著作が抜群に面白いです。
小さな事柄をコツコツと積み重ね、最後は誰も予想しなかった革新的な結論を導く。
そのプロセスがたまらなくスリリング。あぁ、これって推理小説を読む感じかもね。
◆この『作家』には感動
折口信夫 『死者の書』
どの小説にも似ていない小説。
魂を揺り動かす、何か遥かで大きな力を感じるんですね。
行間から溢れる光明に感動です。
ロマン・ロラン 『ジャン・クリストフ』
昔読んで、人間の素晴らしさを学んだような。
ドストエフスキー 『罪と罰』 『カラマーゾフの兄弟』
昔読んで、苦悩することや人間の業を学んだような。
シートンや椋鳩十・戸川幸夫の「動物もの」
もっと昔に読んで、動物達の運命によく泣いておりました~。
マルセル・プルースト 『失われた時を求めて』
これはわりと最近かな。
この小説と付き合っていけば、一生飽きることはないように思いましたね。
たった一個のアタマが創り出した壮大な宇宙に感動。
◆嫌いな『作家』
内輪の話しか書けない作家。
文章に魅力のない作家。
◆好きな『作家』
バトンを回してくださったGさん(アレレ、けして爺さんではありません!)の書かれた日記に、
「行きつけの店」はないけれど「行きつけの本」ならあります。ってコメントしたことがありました。
その「行きつけの本」が、好きな作家ってところかもしれません。
澁澤龍彦 『フローラ逍遙』 『唐草物語』 『うつろ舟』など。
どんなに色々な本を読んでも、何となくここに戻る・・・という感じ。
澁澤龍彦という人物は、自身が好んだモノやコトだけを全身全霊で追求したように思えます。
その潔さが好きです。
泉鏡花 『夜叉が池』 『天守物語』 『春昼』 『春昼後刻』 『海神別荘』 『化鳥』など。
このごろ心に湿り気が足りないなぁ、と感じた時、鏡花を読みたくなります。
鏡花の小説の中でしか会えない、この世のものでない美しさや哀しさを吸い上げて、心が潤うように思えるのです。
夢野久作 『人の顔』 『いなか、の、じけん』 『瓶詰の地獄』などの短編多数。
凡人のささやかな逃避ですね。私が久作を読むのは。
泥臭さと繊細さ。切れ味の悪いナタで、ココロをザクザクやられる感じ。
この味を経験すると、やめられません。
川端康成 『掌の小説』 『片腕』
この掌編は小さくて貴い玉のよう、お気に入りの逸品があります。
好きな作家は他にもいますが、繰り返し読んでしまうのはこんな感じです。
◆この世に『作家』がなかったら
小説がなかったら、でいいでしょうか?
なきゃ無いでしょうがないけど、私はつまらなくなりますね。
それと世の中がほんの少し騒々しくなるかな、なんて。
一人静かに向かうものが減るし、自分の心の中に「お話し」を持っている人は、きっと誰かに話したくなるだろうから。
◆次に廻す人(任意の人に『指定』付きで)
私も続けて「作家」でお願いしますが、
苦手で内気で面倒で困っちゃう方、どうぞスルーしてやってくださいね・・・
ワインさん
zai jrさん
Yadayooさん
羊男さん
“好きな作家は?” に対して5件のコメントがあります。
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読んでみます。
お返事が遅くなりました。先ほど小雨降る東京に戻りました。作家のバトン、フツーの意味では小説家ですよね。ボクはあまり小説は読んでこなかったし、今もあんまりですね。kyouさんの感動作家編で、絡んでくるのはドストエフスキーくらい。ちょっと荷が重い感じもありますね。強引に詩の世界にねじ曲げてしまおうか・・・なんて。そんなのアリでしょうか。詩人は作家といわないのは何故でしょう?変な締めですみません。
ご指名ありがとうございます。
泉鏡花の『春昼』と『春昼後刻』が入っているのに、にんまり。
これ私も好きなんですよ。
なんか浮世を忘れて耽溺したいですわ。
>日本中世史・絵画史料論の黒田日出男さんの著作
具体的にはどれが良いのでしょうか?
うーん、さすが、というバトンですね。
どの本も面白そうで今度読んでみようかなと
おもわせ、バトンを読み終わるとKyouさんの
中の小宇宙を覗き込んだような印象が
残ります。