枯れない植物たち
大手町の「若冲」から、新宿に移動、「現代植物画の巨匠展」ボタニカル・アートのルネサンス も見てきた。
この展覧会はシャーリー・シャーウッド コレクションから、現代の植物画家の作品121点が展示されている。
シャーリー・シャーウッド博士は、大学で植物学を学んだ後、植物画の普及と植物画家の発掘につとめている女性だ。
世界各地から収集した作品は600点以上にのぼり、個人としては世界最大規模のコレクションであるという。
去年、上野で「植物画世界の至宝展」が開催され、500年にも及ぶ植物画の一大展覧会があったのも記憶に新しい。
そこでも今回の展覧会と同様に、写真の出現によって一度は衰退した植物画が、近年の自然保護運動の高まりや園芸ブームと共に再び脚光を浴びていると解説されていた。
また現代の植物画家が、過去のすぐれた画家にも勝るとも劣らぬ作品を生み出していることから、現代を植物画のルネサンスと称しており、それは去年の「至宝展」今回の展覧会を通して充分納得できるものだった。
画集でコレクションの質の高さには圧倒されていたが、やはり実物はスゴかった。
私のように趣味で描いているのとは歴然とした質の差がある。
植物を見る目の正確さ、描写の技術の高さ、学ぶべきところが多すぎて愕然としながらも、こんなにも美しいものがあるのかという感動が溢れてきた。
植物画は、植物を正確に描くというのが基本ではあるが、いくつかの作品には構図などに斬新なものもあり、植物画でも個性的な表現が可能なのだな、と実感した。
私自身はまだ基本的な描写もままならないが、もう少し自由に描いてもいいのだな、というような希望が持てた。
実のところ、何故自分が植物画に惹かれるのかよく分らない。
たぶん植物が好きで、じっと見つめるのが好きで、描くのが好きなのかもしれない。
静かだけれど、力を抜いていない植物画の世界が好きなのかもしれない・・・などなど。
展覧会はもうすぐ終わりになりますが、そこで販売していた本は普通に買えます。
二冊とも現代植物画家による作品集。この中の作品が、展覧会に多数ありました。
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『A Passion For Plants』 | 『Contemporary Botanical Artists』 |
ネットの友人から教えてもらいました。
月刊『美術の窓』2006年5月号 巻頭特集として「華麗なる植物画の世界」
植物画の歴史、日本の植物画、技法、購入方法までをダイジェストで紹介。
損保ジャパン東郷青児美術館「現代植物画の巨匠展」
“枯れない植物たち” に対して10件のコメントがあります。
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>Takさん
こちらこそ、ゆっくりやっていますので、ブログの更新もいい加減なものです。どうぞお気きになさらないでください。
Takさんは精力的に足を運ばれていて、毎回しっかりブログに纏めていらっしゃる。流石に凄いパワーで脱帽です。
ブライスと第4期まだ行っていないので、早く行きたいと思っています。
こんにちは。
どたばたしてまして
お返事遅くなってしまいました。
申し訳ないです。
若冲→損保。
同じコース辿りました。
>みちこさん
Yadayooさんのレスのことですね。そんなにウケかな?
>自然の雨風の中で、たいていは息を吹き返して緑も濃くなる。
やっぱり、地植えだと植物って大きくなりますよね。
逆にベランダだと、あまり大きくなりすぎても困るし・・なんて、人間は勝手なものですね。
「ご主人の気まぐれで生死の瀬戸際を行ったり来たり。足があったら夜逃げするか。。。」うまい!! この文章、実に上手いなあ。私なマンションの一階にすんでいるので、最近、自分のせいで死にそうになった鉢植えは、庭に植えて責任回避してるの。自然の雨風の中で、たいていは息を吹き返して緑も濃くなる。先日、シラーぺルビアナという珍しい花が咲いて、kyouさんに名前を教えてもらったけど、今、また、きれいな花が咲いて、どこの原産?と首を捻っています。庭は雑草が生え放題で、見た目が悪いんですが、なんか、切ってしまうのが気が引けちゃって。。。謝りながら切るものだから、ほとんど切れないの。困ったもんだ。
>Yadayooさん
面白そうな本ですね。
生きているものは皆、目的にあった形、意味のある構造をしているのしょうね。
自然の作るものに無駄なものはないという事なのかしら。
野山に生えている植物は、自分の裁量で暮らしているけれど、
ウチのようにベランダの鉢植えはかわいそうです。
時々、ご主人の気まぐれで生死の瀬戸際を行ったり来たり。
足があったら夜逃げするか、羽があったら高飛びするか、声が出せたら懇願できる、いや罵倒されるかな。
生活を豊かにしてくれる植物は、大切にしなきゃいけませんね。
植物という不思議な生き方という本を思い出しました。
一見静かで穏やかに暮らしているようでいて、
じつは植物は戦略をもって必死に生き延びてきた。
スイカの縞模様は何のため?とか謎解きがあって目から鱗の本です。
植物の形態の多様性は、じつは深い知恵から来ていることが多いみたいです。
植物に惹かれるのは、案外そんな理由からかもしれません。
>hamigakiさん
自然とはまた違った息吹・・・本当にそうですね。
私は本物の花以上に、描かれた花が好きなところもあります。
他の絵画とは一味違った世界だと思います。
植物って不思議な形だったり、美しい色をしていたり、しみじみ観察する面白さを感じました。
花々もボタニカルアートになると、
自然とはまた違った息吹を感じますよね!
私も今週末に行ってきます。
楽しみです!
> ワインさん
> 要は描きあがった絵が必要条件を満たしていれば方法は何とってもよいのだということに、今更気づかされました。
そうですね。本当に勉強になりました。理屈じゃなくて、最高の作品を見ることが一番のことだと思います。
私はケイト・ネスラー、パンドラ・セラーズ、クリスタバル・キングよかったです。今井真理子さんの作品も好きです。
今井さんの作品をはじめて見たのは、何十年も前、細密画の技法書でした。(アサガオの種などの鉛筆画)
「A Passion For Plants」の中にその時の作品を見つけて、あ~何十年も描き続けてこの完成度に至ったのかと、尊敬の念を抱きました。
> 国内の植物画展で展覧会そのものに、このような良い意味での緊張感のあるものは数少ないように思いました。
そうですね。もっとプロの作品を見てみたいと思います。
アマチュアは色々なレベル、色々な取り組み方で各人描いていますからね。
kyouさんも行かれたんですね。今回もすばらしい作品群でしたね。
紙の質も様々、画材も油絵の具あり、水彩あり、エンピツあり、アクリル絵の具あり、組み合わせてあるものもあり、本当に自由に選択されていて、要は描きあがった絵が必要条件を満たしていれば方法は何とってもよいのだということに、今更気づかされました。
なぜ自分が植物画に惹かれるのか?
静かだけど力を抜いていない>
というkyouさんの言葉、いい得ていると思います。ピンとした緊張感のあるものというのは、見ているものを目覚めさせる力がありますね。
国内の植物画展で展覧会そのものに、このような良い意味での緊張感のあるものは数少ないように思いました。やはりシャーウッド氏の見る目はたいしたものですね。