古本屋さんのオヤジサン
『本の背中 本の顔』 出久根達郎 (講談社)
ご存知、古書店主にして作家の出久根達郎。久しぶりに読んだ。
相変わらず地味で渋い。そして、ひたすら本が好きだというところがいい。
1ページ、多くても4、5ページのエッセイがずらりと続く。勿論、本に因んだことばかり。
この前読んだ『異常心理小説大全』とは打って変わって、こちらは古本屋さんのオヤジサンが、書棚の隅で光る本を紹介してくれる、といった感じ。物騒な本は無い。
面白かったところを二つばかり。
井上ひさし氏の『本の運命』という本の中に、「井上流本の読み方十箇条」があるそうだ。
十箇条の一つ、「本はゆっくり読むと、速く読める」は、言われてみると、真理である。
最初はていねいに登場人物の名前や関係を、しっかり押さえながら読んでいく。そうすると自然に速くなる。最初にいい加減に読んでいると、よく飲み込めないから速くならない。 (P206)
その通りだな~納得。最初のコレが結構面倒なところだが、後々まで響くから肝心。第一の関門ってところかな。
他の九つはなんと書いてあるのかな?読んでみたい。
書物の魅力は、音にある、と知人が言った。音?
「ああ、面白かった、と読み終えて、パタンと表紙を閉じる。このときの本の音が、なんとも言えず爽快なんだなあ。そのかわり、つまらなかった本は、すかしっ屁のような情けなく臭い音だ」 (P223)
この他にも本の「悲しんでいる音」というエピソードも本好きの店主ならでは。
本の音か・・・私は面白く熱中してページをめくる時の、ちょっと元気なパリっという音がいいかな。
何冊か読みたい本が見つかった。だから本の本が好き。
“古本屋さんのオヤジサン” に対して1件のコメントがあります。
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わたしは新しい本の匂いが好きなの。小学生の頃図鑑の匂いが大好きだった!古い本とか、人から借りた本は匂いがなくて魅力を感じない。中身は同じなのにね。変な趣味です。