子供を侮るなかれ
『トゥインクル・ボーイ』 乃南アサ (新潮文庫)
表題作を含め7編全て、幼い子供が主人公の短編集。
ここでは、子供の「悪」がクローズアップされている。残虐性、嫉妬、媚、嘘・・・
幼い子供は純真でもあるが、同時に邪悪な萌芽も持っている。
自覚した悪もあるし、自覚しない悪もある。
知識や経験の差こそあれ、結局子供と大人は大差ないということだ。
「三つ編み」
4歳の女の子が、お気に入りのお兄さんの恋人に抱いた対抗心、嫉妬心、あこがれ。
幼女が“その行為の意味”を理解したのも、土壇場で自己保身に転じたのも、同じ本能なのだろう。
「青空」
成り行きで保母になってしまった女性の自業自得ともいえる顛末。
天使のように可愛い子供もいれば、悪魔のような子供もいるのが幼稚園。
悪魔は生半可な気持ちの大人をターゲットに選んだ。
でも、幼くして悪魔になってしまった子供こそ、不幸な存在だと思う。
一人の子供には恐ろしいくらい、背後の親のありようが見えるものだ。
“子供を侮るなかれ” に対して2件のコメントがあります。
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単純に「悪」を排除すれば事足りると言う問題でもない>
そうですね。善悪は表裏一体ですものね。
私自身、子供のころの事を思い出すと、かなり毒が強かったほうだと思います。自分の毒がつよいから宗教に魅かれるのかもしれません。でも私の親は、自分の娘が毒のつよい人間だということに気づいていなかったようです。特に母はね。母はとても常識的な人でした。
なんだかこわそうな小説ですね・・
邪悪な心はどこからくるのか。もともとそうなのか、環境か、親の影響か・・