プラートの誇り

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先週、新宿の損保ジャパン東郷青児美術館に「プラート美術の至宝展」を見に行った。

プラートというのはフィレンツェから程近い美術都市。

特に「聖帯伝説」(聖母マリアが死後、天使によって天に引き上げられる時、地上に帯を残していったという伝説。)を中心として、キリスト教美術が都市の発展に大きく関わっているのが特徴的だ。この都市について知らなかったので、とても勉強になった。

14世紀から18世紀までの作品があったが、やはり15世紀フィリッポ・リッピとその工房の作品がよかった。

さて目玉の祭壇画、フラ・フィリッポ・リッピとフラ・ディアマンテ作の「身に着けた聖帯を使徒トマスに授ける聖母」だが、縦横約2メートルくらい、色彩も鮮やかで聖母の顔もとても美しかった。

聖帯伝説の一場面を再現し、主要な人物を配してプラートの象徴となるべき祭壇画だ。

祭壇画の脇には、描かれている人物の説明、絵解きの注釈図も展示されていて、鑑賞の助けになった。

フィリッポ・リッピは、修道女ルクレツィア・ブーティとの駆け落ちするほどの情熱家、人間味がある。フラ・アンジェリコの透明感のある清楚な女性像とは対照的。

ちょっと歌麿と春信の違いといった感じかな。

彼の描く女性は現代の目から見ても抜群に美しく、繊細な表情と愁いのある眼差しは聖なる女性というより、生身の女性を感じさせる作品が多いように思う。

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画像は「聖母と二天使」だが、このイメージが強かったせいか、祭壇画のマリアや聖女はやや硬い感じがした。

でも左の聖女の横顔はとても魅力的だった(これもルクレツィア・ブーティがモデルとの説あり)

右端の魚を持った男の子(トビアス)は、画像の天使同様、いたずらっ子のような愛嬌があってかわいい。

祭壇画はなかなか見る機会がないので、一点でも見ることが出来てありがたかった。

もう一つ印象に残ったの作品は、フラ・ディアマンテとフィリピーノ・リッピ作のサンタ・マルゲリータ修道院の祭壇画のプレデッラ(祭壇裾絵)。

プレデッラは、祭壇画の主パネルと関係していて、描かれている聖人のエピソードや、物語の情景が多く描かれていて、ミニアチュールのような面白さがあってとても興味深い。

この作品は「嬰児の虐殺」など3つの情景がしっかり描き込まれ、人物の表情にリッピ工房の特徴が出ていて、小さいながら見ごたえがあった。

フィリピーノ・リッピは、フィリッポ・リッピと修道女ルクレツィア・ブーティの子供で、ボッティチェリに師事した。

ボッティチェリは、フィリッポ・リッピの弟子だ。

3人の中に共通する、叙情的な聖母マリア、魅力的で親しみやすい天使、流れるような線の美しさ、メランコリーと華やかさ。

師の技を自分のものにして、それを超える。工房での厳しい師弟関係がルネサンスの質の高い芸術を支えたのだな、と思った。

プラートの誇り” に対して1件のコメントがあります。

  1. hamigaki より:

    私も来週あたりにプラート展に行く予定です^^
    kyouさんのレポートを拝見し、また一段と見たくなってきました~。

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