月の花
昨日、Bunkamuraで「ベルギー象徴派展」を見てきた。
19世紀末のベルギー象徴派は、幻想とエロティシズムに溢れていた。
フェルナン・クノップフがメインだが、フェリシアン・ロップス、ジャン・デルヴィル、クノップフの師グザヴィエ・メルリ等々、全く知らない画家も多く展示されていた。
クノップフの「アクレイジア」「フリトマート」は、共に16世紀の英国の詩人スペンサーの『妖精の女王』という物語の人物。(ポスターを飾っている油絵)
顔のタッチは緻密だが、背景や衣装の一部は流れるような筆後があり、タッチの変化、緩急の付け方がとても効果的で美しい。
薄布に透けるアクレイジアの裸体が官能的だ。逆に硬い甲冑に身を包むフリトマートは、実は女性。どちらも妖美なファム・ファタール。
クノップフ以外は、あまり好きな作品は無かったので、全体的にはやや物足りない感じ・・。
アンソールを久しぶりに見た。そういえばベルギーだったな、と思った。
繊細で静謐なクノップフとは、全く異質だが同様に病的なところは、流石に世紀末だなという感じ。
印象派は太陽の光が似合う花、象徴派は月の光が似合う花。そんな風に思う。