徒 然 日 記

04/3/31(水)

一ヶ月に一枚UPを目標にしているので、ぎりぎりセーフでランキュラスをUP出来て良かった。下描きの段階で葉を描いている時、もう正直投げ出したくなった(泣)
でもそういう時は、一呼吸置いて、ちょっと休んで、もう一度冷静に一つずつ見直す・・結局それしかない。必ず終わりは来るのだし。
兎にも角にも、一つの花を描き終えることが出来ると嬉しい。私にとっては一つ達成感であり、小さいながら征服感でもあると思う。


04/3/27(土)

『マニエリスムとバロックの成立』ヴァルター・フリートレンダー(岩崎美術社)読了。
訳者あとがきによると、本書は著者の『反古典主義的様式』と『反マニエリストの様式』からなる本の翻訳。特に前者は、1914年に行った講演をもとに発表されたもので、それまでルネサンスの衰退とされていたマニエリスムに新しい価値基準を認め、再評価を与えたほぼ最初の研究であるそうだ。
マニエリスムの作家にミケランジェロ、ポントルモ、ロッソ、パルミジャニーノ、バロックではカラッチ一家、チゴーリ、カラヴァッジオをあげて解説している。

『イコノエロティシズム 澁澤龍彦美術論集』谷川渥編(河出書房新社)読了。
ほとんどのエッセーが、澁澤のどの美術関係の単行本にも含まれていないもので、貴重な一冊。
「世紀末(19c)」「理論編(魔的なもの、エロティシズム、幻想、シュルレアリズム)」「エルンスト」「スワーンベリ」「デュシャン」の5つのセクションに別れている。
著者の美術論は学術的な話ではなく、あくまで己の気質と嗜好が前面に押し出されているのが特徴。楽しく読めた。


04/3/21(日)

『熾天使の夏』笠井潔(講談社文庫)読了。
著者あとがきで、本書を『バイバイ、エンジェル』に先行する矢吹駆連作の「第ゼロ作」としている。 草稿から20年を経ているそうで、個性的な主人公の過去が20年ぶりに明かされることになる。 革命と暴力に明け暮れたカケルの望みとは・・
本文の「革命家とは革命によって選ばれ掴まれてしまったしまった自分の宿命を自覚した人間に過ぎない。(中略)石が、石以外のものになりえないように、革命家は革命家以外の生存を選ぶことができない。だから、転向などどこにもないのだ。」という文章が心に残った。
さらに趣味や正義感で石のまねをしていたのなら飽きたからやめた、はあり得るが、真に革命にわし掴みにされたものにはありえないとし、
「革命を放棄する事ができない宿命への、蒼ざめた忍耐があるのみだ。」としている。
革命家を芸術家に、革命を芸術におきかえると、画家を自認する人々の苦悩が理解できるように思えた。

『嘘をもうひとつだけ』東野圭吾(講談社)読了。
表題作を含む5短編収録の短編集。すべてに練馬警察署の加賀刑事が登場し、事件を解決していく。
ごく普通の日常の中に起こりえる事件ばかりで、さらりと読めるけれど、文句無く楽しめた。
加賀刑事の、淡々と静かな、しかも犯人には相当な重圧感であろう存在は興味深い。登場人物の感情の起伏が無理なく伝わってくるし、トリックも面白かった。
最後の『友の助言』は、加賀の友人が関わってくるが、加賀の人となりが滲み出て秀逸。


04/3/18(木)

東京都現代美術館「球体関節人形展」を見に行った。
映画「イノセンス」公開記念ということで、若い人(中高生から専門、大学生と思われる人)が大変多く、流石に話題の映画は違うナァという感じ。
日本で独自の発展を遂げたと言われる球体関節人形は、ベルメールの影響無しには語れない。今回の展覧会でも敬意を表して写真2点と映像数点があった。
内容は大体想像していたとおりだったが、やはり立体というのは平面に比べて生々しいというのが第一印象。
初めてこの種の人形展を見たが、それぞれの人形は、人間の身体をモチーフに過剰と欠損のイメージの具現であり、さらに、個々の作家のエロティシズムが加わって、人形の個性を決定しているようだった。妄想の形代としての人形の存在はとても面白いと思った。
悪魔と天使を両極としたら悪魔的な作品が多く、セラフィタのような崇高な形代としての人形は少なかったように思う。個人的にはあまりに猟奇的で禍々しい作品は、逆に幼稚な印象を受けて好きじゃない。
唯一、リリカルで美しいなと思ったのは、四谷シモンの「天使−澁澤龍彦に捧ぐ」で、この作品と出会えたのはとても嬉しかった。また、ずっと見たかった天野可淡の実物と対面出来たのも感激。アンティックドールに100の情念を足したような魔力があった。
他で印象に残ったのは、山本じん。人形もさることながらドローイングがとても魅力的だった。

開催期間はあとわずかですが・・
映画「イノセンス」公開記念  押井守監修
球体関節人形展 〜DOLLS OF INNOCENCE〜 HPはこちら



04/3/16(火)

『マニエリスムとバロック』河村錠一郎(青土社)読了。
大きく分けて、絵画、文学、演劇におけるマニエリスムとバロックをルネサンス−マニエリスム−バロックの相互関係において解説。
マニエリスムの特徴を述べた箇所が大変分かりやすかったので、私の好きな代表的マニエリスムの作品を見ながら、
「愛の寓意」ブロンズィーノ   「十字架降下」ポントルモ

(1)焦点・関心の分裂(多様性)
(2)非機能性
(3)反重力の法則
(4)反空間性
(5)反時間性
(6)反リアリズム、反自然主義
(6)'キュビズム  
(6)''美の作為性 1.エレガンスの追求(細長さ、蛇状曲線体) 2.病的な官能性
以上の表現の結果としての
(7)知的、遊戯的、曖昧、不可解

とある。う〜んぴったりだ。ポントルモの不思議な浮遊感−惹かれるナァ

このほかでは、「モナ・リザ」におけるマニエリスム的なものの存在から、マニエリスムを「ルネサンスが実は模範生ではなく問題児であることを指摘した、いってみれば問題提起者であり告発者である。」と指摘しているところが印象的だった。
さらにグリューネバルトについても、類い希な独自性をもった画家として取り上げており、読み甲斐があった。

何だか分からないが、昔からマニエリスムが好きなので、今日はリキ入れました。(・ε・)ノおっー!


04/3/13(土)

『道−ジェルソミーナ』笠井潔(集英社文庫)読了。
私立探偵飛鳥井が登場するシリーズ。表題作を含め4短編収録。解説によると謎解き小説、探偵小説かつ社会派というジャンルに果敢に挑戦している。とある。
ジャパゆき、エイズ、バブルの栄枯盛衰、ホームレス、結婚詐欺とそれぞれ難しいテーマながら4短編、まずまず楽しめた。飛鳥井シリーズは長編『三匹の猿』が面白かった。


04/3/10(水)

『天使と怪物 種村季弘対談集』種村季弘(青土社)読了。
天使、怪物、アリス、UFO、等々楽しい話題が続く。1970年のグスタフ・ルネ・ホッケへのインタビューから最近の谷川渥との対談まで、計12名との対談集。
面白かったのは「アリスの国へ」×高橋康也、「異貌のルネッサンス」×荒俣宏、「永久運動とUFOの夢」×河合隼雄。
河合隼雄の著作は『こころの処方箋』『明恵 夢を生きる』『とりかえばや、男と女』などどれも大変感銘を受けた。こころの処方箋だったか、“うそは常備薬、真実は劇薬”というようなことが書いてあり、「机上の空論ではない真に生きる知恵」を与えられることが多い。
話が飛んでしまったが、この種村氏との対談集の中にも思春期の子供が多くUFOを目撃する心理の背景や、〈未知との遭遇〉というけれど、既知のものとつながらないと未知としての意味を持たず、逆にすべて既知のものは実は未知のもの、既知のものが未知のものとして見られ始めると、別にUFOを見る必要が無くなる・・というような話はなるほどなぁ〜と思った。
特に、現代はアイデンティティというものを知るための“隠れどころ”がないという話の流れで、「隠れている人に対して、少なくとも声をかけないという礼儀をみんながもう少し確立しないことには、非常に生きにくくなると思いますね。」の言葉はとても同感できた。
人は太陽の光の下ばかりで育つものではないと思う。


04/3/6(土)

『天啓の器』笠井潔(双葉文庫)読了。
メタフィクションの難しい話は分からないが、兎に角、中井英夫の『虚無への供物』に対する熱烈なるオマージュなのだ。
『ザ・ヒヌマ・マーダー』(『虚無への供物』)の作者仲居さんの死は殺人であった。その真相を探るべく、天童直己=竹本健治、宗像冬樹=笠井潔らは、『ザ・仲居・マーダー』の調査を始める。
『ザ・ヒヌマ・マーダー』【ザ・ヒヌマ・マーダー】《ザ・ヒヌマ・マーダー》〈ザ・ヒヌマ・マーダー〉と複数の物語が錯綜する。濤晶夫=塔晶夫は実在の人物? 仲居さんは剽窃者?・・数々の謎が入れ子のように存在する。
所々に印象に残る記述があった。
「物語のラストにラストラストしたラストを期待する心理は、世界を終わらせたい−もっと穏便な言い方をすれば、世界をパッケージ化したいという欲求に裏打ちされているからなのよ」 
「作者とは匿名の「巨大な作者」が使うペン、光眩い天啓を受け止めようと差し出される粗末な器にすぎない。」等々。

本書にでてくる中井英夫、竹本健治、笠井潔、あと奥泉光、このあたりがお好きな方にはたまらない面白さであるはず・・。『虚無への供物』『匣の中の失楽』に熱烈再会したくなった。


04/3/3(水)

3月に入ってから、横浜でも雪が降ったりして近頃ちょっと寒い・・。

京橋のブリジストン美術館へ「水彩の力、素描の力」を見てきました。
印象に残ったのは、ギュスターブ・モローの「化粧」。水彩とグワッシュが使われており、絵に不思議な厚みと透明感がありました。
描かれたハーレムの女性の豪奢な衣装から垣間見える、手や足の指がとても妖艶で、蠱惑的。
小さな画面(33.0×19.3p)の中に水彩のテクニックが凝縮していており、また写実性と装飾性の極みといった感じで、それ自体が宝石のような作品でした。
セザンヌ、ドガの水彩、ジャコメッティの素描は、流石にスゴイと思いました。

この美術館は、常設展が充実しているのでgoodです。メインのコレクションは印象派や、日本の洋画家であるけれど、私はギリシアの赤絵や黒絵の壺の方が好きだなぁ。絵画では藤田嗣治、キリコ、どうも堅牢な表面に惹かれる質みたいで・・。

近くの丸善で「ボタニカルアートと博物画の世界」もやっていたのでそちらにも足を運びました。
銅版手彩色の丁寧な作品ばかり、花、昆虫、魚、ファッション等々。目の楽しみ、脳の楽しみ。
しかも無料だ。
しかし、会場の入り口に置かれたボタニカルアートの本がどうしても欲しくなってしまって(この出会いを逃したら一生後悔するぞ〜の声)、迷いに迷って洋書を一冊買ってしまった。
只より高いものは無し・・ということに。(>_<)いたた..


2月 4月