徒 然 日 記

03/7/30(水)

ここ何日か、描こうと思っている実が大きくなるのを待っている。で、ちょっと絵はお休み。とっても開放感、本が進むなぁ。「愛しすぎた男」パトリシア・ハイスミス(扶桑社ミステリー)読了。
いわゆる「ストーカー」を主人公とし、その行動と心理を描いている。1960年に書かれたものとは思えないほど、今日的だ。頭脳明晰な技術者デヴィッド・ケルシーは、地味な下宿に住みアナベルという女性に一方的な思いを寄せる。さらに、彼は毎週末、郊外にウィリアム・ノイマイスターという名前で瀟洒な家に住み、アナベルへの妄想を逞しくする二重生活者でもある。
久しぶりに引き込まれた小説。先に読んだ「見知らぬ乗客」もそうだったが、作者は人間の狂気を冷静な目で観察し、読者に共感と恐怖を植えつける。文句なく面白い作家。続けて、同作家の短編集「ゴルフコースの人魚たち」を読んでいるところ・・。



03/7/27(日)

木曜日に図書館へ本を仕入れに。予約の本「切り裂きジャック」P・コーンウェルがまだ来ていなかったので、ちょっと残念。実在の画家をコーンウェルが真犯人としたもので、この画家の絵は先月見た「ヴィクトリアン・ヌード展」にもあったはずなので、興味津々。
「文士の魂」車谷長吉(新潮社)読了。自らを反時代的な毒虫として、私小説を書き続ける。私としては、あまり好きじゃないタイプだ。でも何故か手に取ってしまう。圧倒的な何かがある。「赤目四十八瀧心中未遂」はよかったな。あくまで、苦手ではあるけれど((((((((^_^;)
「だましえ歌麿」高橋克彦(文春文庫)読了。時は、老中松平定信の寛政の改革まっただ中。浮世絵師歌麿の女房おりよが惨殺される。 事件を追う同心仙波一之進は次第に核心に迫る。歌麿、春朗(北斎)、火附盗賊改の長谷川平蔵、蔦屋など実在の人物との絡み、町人の目から見た改革の有り様など面白かった。しばし江戸に浸れました。



03/7/23(水)

「雨やどり」「炎の陰画」半村良(文春文庫)読了。共に短編集。前者は新宿のバー「ルヰ」のバーテン仙田を中心に、周囲の人々との悲喜交々。古き良きどさくさの新宿への郷愁。どちらかというと後者「炎の陰画」の方がよかったかな。収録の「白鳥の湖」は、戦後の貧困の中でアメリカから送られた白鳥をある男が殺し、食べてしまう。偶然その男の顔を見た石原刑事の辛い運命・・。
表題の「炎の陰画」は、かつて戦火で母を失った男の屈折した心情と性癖。
“酸いも甘いも知り尽くした大人のストーリー・テラー”という感じがしました。



03/7/21(月)

「石の血脈」半村良(角川文庫)読了。古代アトランティスの謎、秘密結社、吸血鬼、美男美女のサバト、犬神、巨石、物部守屋・・。それらが古代から現代に脈々と続いている。奇想天外、荒唐無稽な内容をつまらぬと感じるか、ロマンと感じるか好みの分かれるところ。別の短編を読み始めているが、全然違った味わいで面白い。
昨日、横浜で毎年7月20日にやる花火大会 を見に行った。山下公園から、海上で打ち上げられる花火を間近で見るわけだ。視界いっぱいに広がる花火の大きさもさることながら、その音の大きさに圧倒される。まるで大砲のようで、振動まで伝わる。久しぶりに、身体にドーンと落ちる満足でした。



03/7/16(水)

「氷の家」ミネット・ウォルターズ(創元推理文庫)読了。なかなか重厚な内容。「女彫刻家」「鉄の枷」と読んできて、このデビュー長編が一番最後になった。どの作品も表面のショッキングな殺人よりも、それを犯した人間、あるいは取り巻く人間の心理的葛藤の面白さに惹かれる。
2、3日前からダチュラを描き始める。やっと咲いたと思ったら、どんどん花の向きが変わるので、はらはらした。どうにか彩色しているが・・無事最後までたどり着きたい。ニコチアナは描いていた花があっけなく枯れてしまい、痛恨のリタイア。



03/7/10(木)

「見知らぬ乗客」パトリシア・ハイスミス(角川文庫)読了。新進の建築家ガイは、列車の中で偶然乗り合わせた若い男から、交換殺人の話を持ちかけられる。そしていつしか巻き込まれ、抜き差しならない状態に陥る。ガイならずとも、一体どうしてこうなったのだ!と叫びだしたくなるような焦燥感がある。異常な状況に置かれた人間の思考と行動が刻々と描写されており、トリックを楽しむより、心理描写を楽しむ小説だった。しばらくハイスミスにハマりそうな予感。
ニコチアナを描き始める、毎度の事ながらデッサンが遅く、描いている間に蕾が咲いてしまった!
ベランダではダチュラが咲きそう、今回は二枚同時進行になりそうだ┓(´_`)┏



03/7/6(日)

今日はベゴニアをUP。葉の形をもっとよく見ればよかった。次にヤブカラシを描こうと思って取って来たけれど、水揚げがイマイチで萎れてしまい描けなかった。(T.T)
「ダーウィンの使者」グレッグ・ベア(ソニー・マガジンズ)読了。う〜ん。難しかった。ヒト遺伝子に組み込まれていたレトロウィルスが性交渉により感染、妊婦に流産を引き起こす。ヘロデ流感と名付けられたそれは、やがて性交渉を伴わない妊娠をひきおこす。人類は如何に進化してきたのか?これからは・・?政治がらみあり、恋愛ありで、主人公の分子生物学者ケイ・ラングが逞しかった。
ちょっと前に「謎ジパング」明石散人(講談社文庫)読了。面白かったのは、オムスビはなぜ△なのかという話。△は神聖な神の霊力、古代人の意志が込められている。五穀の長たる米がこの形で、○は米以外の穀物とし、一段下の団子となる・・・深いです。



03/7/1(火)

もう7月か〜。ベランダの花も気が付けばすっかり夏の花だ。先月買ったダチュラがすくすく育ってくれると有り難い。別名気違いなすびの朝鮮朝顔。美しいが、悪魔的な強さを持つ花だ。描けるほどに成長して花が咲いたら是非描きたい。
「炎立つ」伍 光彩楽土 高橋克彦(講談社文庫)読了。参、四、と惹きつけられるように読み進んだ。「俘囚」と蔑まれてきた陸奥の武士安倍一族からはじまり、奥州藤原氏の栄華と滅亡。常に中央と対峙しながら独自の発展をなしとげ、自由と蝦夷(えみし)としての誇りを持ち続けた人々の歴史。
武士として、為政者として、親兄弟としての信義。極限に立たされた人間が、選択しなければならない道の険しさに、思わず泣けた。



6月8月