徒 然 日 記

03/12/30(火)

昨日は、おせちの黒豆&大福豆(うちでは白豆といっている)を煮た。朝からお昼くらいまでコトコトやるわけで・・。終わってから栗きんとん作り、市販の裏ごしさつまいもと栗の甘露煮を使うのでカンタン。好みの甘さにでき、さつまいもその物が美味しくて出来合のものより好評。
今日はお煮染め作り。午前中いっぱいかかってどうにか完成。午後から買い物と忙しい。でもいつもと同じ年の瀬を迎えられることに感謝しなくちゃね。

『杉本秀太郎文粋3 諸芸の論』杉本秀太郎(筑摩書房)読了。フランス文学者で、日本の古典にも通暁している著者。はじめて読んで、とても良かった。忙しい中で読んだので、落ち着いてからもう一度読み返したい。「絵 隠された意味」では竹内栖鳳、ウッチェロと面白い取り合わせで進む。また「余技の画人たち」としてボードレールやゲーテを取り上げていて興味深かった。
「わが偏書記」ではチャールズ・クック『ピアノの技法』をあげ、アマチュアリズムの値打ちとその証明を賛していた。中で印象に残った記述があった。
“人を甘やかすような書物ではなく、反対に、絶望させ、忍耐をうながし、いつまでも満足を未来に延引するだけの高邁を人にあたえるものが、技法の書という呼び名に価する。”というもの。ハウツーもの溢れる昨今、含蓄があるのでは。
また“完全無欠という幻想にむかって、性こりもなく試作をつみかさね、幻想と孤独な戦いにあけくれ励むという悦楽を別にして、アマチュアの立場というものはない。”とも。
その上で、専職もアマチュアも理想を求め、この場合の理想とは悦楽という意味であるといい“事柄が、技芸にかかわる以上、悦楽を抜きにして、技芸に励む動機を他にさぐるのはお門ちがいというものだろう。”としている。
この本の原題は『悦楽を求めてピアノを弾く』というそうだ。さしずめ私は「悦楽を求めて絵を描く」ということになるのだ・・と思った。

今年は、5月にHPを立ち上げてどうにかここまでたどり着きました。色々な方と知り合う事が出来て、それが一番嬉しく、刺激になり、支えになりました。 どうぞ皆様良いお年を! 


03/12/24(水)

モミジバフウをUP。今年はこれで描き納めです。実のデッサンをちょっといい加減にしてしまったので、後々までそれが響いて後悔・・。何事も土台がしっかりしてないとダメって事ですね。

この前たまたま見た「新日曜美術館」で、高畠華宵を取り上げていたので、オッという感じ。三輪明宏がゲストで話していて、なかなか聞き甲斐があった。「妖美」を感じさせる美少年を最高とした三島が、三輪さんを「華宵の絵のよう」と言っていたくだりは、本でも読んだことがある。彼の若い頃の写真を見ると、ホントびっくりするくらいの美貌・・。大正ロマン、蕗谷虹児、中原淳一の名前も挙がってレトロな心地よさを満喫できた。

ベランダから「みなとみらい」を眺めると、クリスマスのライトアップで華やか。光の箱を立てたように高層ビルが連なっている。でも毎年の事ながら25日を過ぎればあっという間に、お正月バージョンに早変わり。何とも目まぐるしいですね。


03/12/19(金)

ここ一週間ちょっと多忙でした・・。描いている絵も途中になってしまっているけれど、生花じゃないからよかった。何週間か前にフラリといった公園で拾ってきた「朱色の落ち葉と実」
本当は紅葉の風景を描くつもりだったけれど、良い構図が見つからず・・で目に付いたのは結局きれいな落ち葉と奇妙な実だったわけ。とりあえず枯れることがないので、ゆっくり描けて有り難い。

『魔の山 上』トーマス・マン(岩波文庫)読了。ずっと気になっていた本だったので、着手。今年の大作はこれで締めかな。流石に薫り高いというか、古典にふさわしい読み心地。久しぶりの感じですねー。
結核が不治の病と恐れられていた頃、スイスのダヴォスにある国際サナトリウム「ベルクホーフ」での出来事。主人公ハンス・カストルプは、従兄の見舞いへと出かけていき、自分もそこの住人(患者) となってしまう。閉ざされた世界での特異な人々との交わり。ある婦人への傾倒・・これから下巻の展開が楽しみ。


03/12/13(土)

『死神』篠田節子(文春文庫)読了。8編の連作短編集。市の福祉事務所に勤めるケースワーカー達と彼らが抱える人達との熾烈な関わりを描いたもの。
生活保護を受ける元芸妓の老婆、夫と別れ子供と公園に野宿する女性、アル中患者・・。ケースワーカーも生身の人間、自分の生活があり、挫折や葛藤、矛盾と日々戦っている。両者はハッキリ違いがあるといえば勿論あるが、著者は、紙一重なのだとも言っているように思う。一方では不正に生活保護を受けるニセ弱者の存在もある。現代社会に活きる人間の弱さと強さを見せつけられた感じがした。


03/12/8(月)

昨日図書館で、新着本コーナーで面白い本を見つけた。『深読みアート美術館』ロバート・カミング(六耀社)読了? 主な項目は「芸術家事典」「主題と物語解説」「用語解説」、他に価格、芸術家の言葉、美術館関連サイトも記載されている。
序文で、彼の最初の職場ロンドン、テイトギャラリーでの経験が書かれており、鑑賞者のおきまりの質問の類、また、そこで働く人たちが「非番」の時の方が「勤務中」より面白い意見を言うこと等を紹介。それをもとに書かれた文章はフランクで分かりやすく、実際的、時にチクリとしたものになっている。一言で言うと“お堅くない解説書”一人一人の画家の説明も普通の美術書とはちょっと違い、教科書的でなく魅力的で読んで面白い。絵画をネタに楽しく話をする為の基礎知識・・といった感じか。カラーが多い割に2800円はお手ごろ価格かも。
また、日本語訳はフェルメール他、美術関係の著作が多い小林ョ子です。


03/12/6(土)

『ビリー・ミリガンと23の棺 上下』ダニエル・キイス(早川書房)読了。『24人のビリー・ミリガン』の続編。連続強姦犯として起訴されたビリーは、精神異常のため無罪ということになる。そして州立ライマ精神障害犯罪者病院へと移送される。しかしそこは病院とは名ばかりの体罰がはびこり、薬物療法と称して患者を植物人間に変えてしまう想像を絶する場所だった。
以降政治的な圧力、マスコミの興味本位、医師同士の対立から、ビリーは病院から病院へとたらい回しの日々を送っていくことになる。
よく生き抜くことが出来た・・というのが率直な感想。良くも悪くも注目を浴びた存在で、支持者が存在したことが支えになっていると思うが、過酷過ぎる。
前作はビリーの「内部」多重人格の不幸、不可思議が、本書は精神障害を持ったビリーの「外部」との関わりの困難、熾烈な戦いが際だっていた。


03/12/2(火)

怒濤の12月に突入。家の前の木々もやっと紅葉らしくなって来たようだ。しかし、紅葉ってこんなに遅かったかな。昔は、11月に紅葉って感じだったけど、気のせい?

『血族』山口瞳(文春文庫)読了。なかなか重厚な私小説だった。一冊の古いアルバムをめぐる戦前の記憶を検証していくうちに、ある疑問が生じる。美しい母への疑問、どういう生い立ちであったのか、父と母はどのように知り合ったのか、そして自分は1月19日生まれなのに、何故10ヶ月も後の11月3日生まれになったのか。さらに美貌の親戚が多いこと・・。
50歳を過ぎた著者が、どうしてもそれを知りたいと思う。その衝動、情念、あるいは血によって書かれた、「母を恋うる記」とも言える。
真実はミステリー小説の様に饒舌でなく、寡黙でなかなか明かされないものだと思った。
誇張も卑下もなく、ましてや悲劇のヒーローや無頼漢を気取る訳でもないが、著者や、取り巻く人々が既に十分小説的。それぞれの人生が、読み応えのあるものだった。
登場人物の一組の夫婦が川端の『山の音』にも書かれているという、だいぶ昔に読んだ本でよく覚えていない。本棚の中を探してみようと思う・・。


11月2004/1月